2009/06/16

店をかえてみろ(6月16日)

 16日未明、高知に来て以来、ひとかたならぬお世
話になった方が、長年住みなれたご自宅で、83歳の
生涯を終えました。

 この方は、地元の銀行で頭取を務めた方で、知事と
しての16年間をはじめ、国政を目指す現在に至るま
で、一貫して応援を続けて下さいました。

 去年の初めに、肝臓にガンが見つかって以来、もう
十分に生きてきたからと、無理な治療をせずに、療養
を続けられてきましたが、最近は痛みをこらえるのが
辛かったらしく、眠ったまま死にたいものだとも言わ
れていました。

 人生最後の一日となった15日は、大好きだった塩
じゃけをおかずに、朝食をとった後、お昼には、冷や
しそーめんが食べたいと、奥様に所望されました。

 午後は、あまり気分もすぐれなかったため、夕方の
5時に、毎日服用していた睡眠薬を飲んで、眠りにつ
かれましたが、その時ご家族に語った、「このまま目
が覚めないといいが」という一言が、最後の言葉にな
ったといいます。

 その後、夜遅くまで、ご主人の足をさすっていた奥
様が、少しうとうととされた後、午前1時過ぎに様子
を見に行かれた時には、すでに息を引き取られていま
した。

 お元気な頃は、健啖家で、食道楽でもあったご主人
は、夏の到来とともに、今年も好物のハモを注文しま
したが、味がお気に入らなかったらしく、奥さまに、
次は店をかえてみろと言われていたそうです。

 別のお店に注文したハモは、明日、主の旅立ったご
自宅に届く予定ですが、こんな日常とかわらない日々
の中で、最期を迎えられたことを、とてもうらやまし
く感じました。

 見事な最期とも言えますが、心からご冥福をお祈り
します。

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2009/06/15

働きかけから身を守るには(6月14日)

 14日夜、厚生労働省の現役の局長が、逮捕された
とのニュースを見て、噂される政治家の介在など、様
々なことに思いをめぐらしました。

 この事件は、障害者団体向けの、郵便料金の割引制
度を悪用したとされる事件で、活動の実態のない団体
に対して、障害者団体であるとの偽の証明書を発行し
たとして、厚生労働省の、当時の担当係長らが逮捕さ
れています。

 この日、同じく、偽の公文書を作った疑いなどで逮
捕されたのは、当時、担当課の課長をしていた、現職
の局長でした。

 逮捕とともに報じられた、この局長の、国会答弁な
どの様子を見ながら、いかにも有能で、そつのない人
だと思いましたが、それだけに、容疑が事実だとすれ
ば、どうしてこんな不正に手を染めたのかと、大きな
疑問を感じました。

 そもそも、担当の課長であれば、相手が実態のない
団体であっても、そのことには目をつぶって、お墨付
きの証明書を出してしまう権限があるはずですから、
わざわざ偽の証明書を作るように、部下に指示を出す
必要がわかりません。

 それでもなお不正に手を貸したとすれば、余程の事
情があったとしか思えません。

 その事情の一つではないかと指摘されているのが、
国会議員からの、「何とかしてくれないか」との働き
かけです。

 なぜ、そんなことに官僚が気を使うかと言えば、賛
否が別れている法案などの場合、政党内での政策の調
整や、国会での議論の際に、あまりやかましく追及し
てほしくないからです。

 このため、国会議員からの働きかけを断って、何か
意地悪をされては面倒だと、少々のことには目をつぶ
って、言うことを聞いてしまうといった心理が働くわ
けです。

 ただ、この程度のことで、証明書の偽造までするか
との疑問は残るのですが、今回の事件の背景が何であ
れ、こうした不透明さを払しょくするために、議員か
らの働きかけには、組織的に対応する必要があると考
えています。

 この点、高知県では、自分が知事の時代に、議員を
はじめ全ての県民を対象に、県職員への働きかけを書
きとめて、公表する制度を作りました。

 こうしたやり方に対して、「働きかけは悪いものば
かりでなく、良い働きかけも一杯あるはずだ。それな
のに、区別なく公表をすれば、一般の県民は、全ての
働きかけを、悪いものかのように受けとめてしまう」
といった反論が起きました。

 おっしゃる通りで、働きかけの中には、もちろん良
い働きかけもあります。

 しかし、働きかけを公表するのは、働きかけという
行為が悪いからではなく、公表することによって、良
からぬ働きかけを抑止するのが狙いです。

 今回の事件の背景はまだわかりませんが、働きかけ
の公表によって、この日逮捕された局長のような事例
は、再発を避けられるのではと思いました。

 ここからは、まったくの余談ですが、逮捕された局
長は、高知市の出身で、市内の私立の高校から高知大
学を卒業して、キャリア官僚となった人です。

 人物的には立派なエリートですが、霞ヶ関の官僚の
学歴から言えば、地方の国立大学の出身は珍しい例で
すので、そんなことが、足を引っ張られる原因になっ
ていなければいいがと、余計なことに気がまわってし
まいました。

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人事の扱い方(6月12日)

 12日夕方、鳩山総務大臣が辞任したとの報道を見
て、人事案件の扱い方に関して、感じることがありま
した。

 鳩山大臣の辞任は、日本郵政の社長人事をめぐる、
麻生総理との考え方の違いが原因とされますが、前に
もブログに書きましたように、事ここに至るまでに手
を打たなくてはいけないことを、今後の勉強材料とし
て学ばせてもらいました。

 一方、私は、今の時点で、お二人のどちらの考え方
が正しいなどと、判断できる立場にはありません。

 ただ、最後まで気にかかったのは、人事案件の扱い
方が、これでいいのかという点でした。

 かつての、日銀総裁の案件のように、衆参での与野
党の捻じれが原因になっている場合は、ある程度、や
むを得ない面があるかもしれませんが、今回は、国会
の捻じれが背景にあるわけではありません。

 にもかかわらず、かなりの期間にわたって、当のご
本人は、さらし者のような状態になりました。

 これを避けるために、どういうやり方があり得たの
か、またご当人にも、何らかの問題があったのかはわ
かりませんが、少なくとも、人事案件の場合、当の本
人をさらし者にしない配慮が、人事権者の側にあって
しかるべきではないかと思えてなりません。

 これまでも、このことはほとんど話題になりません
でしたが、本当にこれでいいのでしょうか。

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「警察への取材で」(6月8日)

 8日、テレビのニュースを見ていて、最近気になっ
ている表現が、あらためて気になりました。

 それは、事件や事故に関するニュースで、「・・・
が、警察への取材でわかりました」という表現です。

 20年間、NHKの記者として、事件や事故の取材
に関わっていた当時もそうでしたが、最近まで、この
手の原稿では、「・・・が、警察の調べでわかりまし
た」と表現されていました。

 ところが、いつからか、「警察の調べで」という、
警察を主体にした表現が、「警察への取材で」と、取
材をするマスコミの側を、主体にする表現に変わりま
した。

 確かに、警察の幹部などへの、記者の独自取材の結
果を、「警察の調べで」と表現すると、そのニュース
を見ている人の中には、警察がそのことを、公式に発
表したと受け取る人もいるでしょう。

 そうした誤解を避けるための、言い換えかとも思い
ましたが、どんな事情があっていつからという、疑問
は解けないままでした。

 それで思い出すのが、ロッキード事件で、有力な政
治家が逮捕されたのを機会に行われた、被疑者らの呼
び方の変更です。

 当時のテレビニュースや新聞の記事では、警察や検
察に逮捕された人、起訴されて裁判にかかる人は、す
べて呼称はなく、呼びつけにされていました。

 これは、日本では、逮捕されて起訴されれば、90
パーセント以上が有罪になるという事情が、背景にあ
ったからですが、呼びつけの表現に対して、一般の視
聴者から、人権上問題があると、指摘されたことはほ
とんどありませんでした。

 ところが、ロッキード事件で、元首相や元大臣が次
々と逮捕された頃から、にわかに、逮捕されただけで
呼びつけにするのは、人権侵害ではないかとの声が社
内(NHK内という意味です)に起きて、被疑者など
の呼称を、検討する委員会が立ち上がりました。

 その結果生み出されたのが、今ではすっかり耳に慣
れた、逮捕されれば「容疑者」、起訴をされれば「被
告」といった呼び方で、慣れるまでは、かなり違和感
を覚えたものです。

 もちろん、国によっては人権上の配慮から、逮捕の
段階では、被疑者の名前を表に出さない国もあります
から、あの当時、わが国のマスコミが、容疑者や被告
といった呼称を使い始めたのも、当然の変化だったの
だと思います。

 ただ、その背景に、ロッキード事件という、政治が
らみのにおいが漂っていたことを思い出すと、「警察
への取材で」の背景にも、何かあるのかなと疑いたく
なってしまいました。

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「未来へ」(6月7日)

 7日夜、高知市内のホテルで、自分が最近書いた本
の、出版を記念する会を開いていただきました。

 この本は、今年の1月から2月初めにかけて、1ヶ
月余りで書きあげたもので、日本の未来、地方の未来
はこうありたいとの思いを込めて、「未来へ」という
題にしました。

 この本の「はじめに」の中に、兄・龍太郎の言葉を
紹介しています。

 それは、三井銀行と住友銀行との合併を伝える大見
出しが、新聞の一面を飾った日のことでした。

 その大見出しに目をやった若い秘書が、「三井と住
友が合併する日が来ようとは、思ってもみませんでし
た。でも、これも、先生の改革の結果ですよね」と話
しかけると、兄は、「波はね、たとえ小さな波でも、
一度起きれば消えることなく、やがて大きな波になっ
て押し寄せてくるのさ。その最初の小さな波を起こす
のが、政治家の仕事なんだよ」と、答えたというので
す。

 兄らしい、少々きざっぽい表現ですが、政治家の役
割を、言い得て妙のところがあると感じました。

 今は、明治維新以来、百五十年に一度の、国の形を
作りかえるべき、絶好の時期だと考えていますので、
自分が、その最初の波を起こす仕事に関わりたいもの
です。

 その小さな波は、いつの日か必ず、全国を埋めつく
す大きな波になると信じていますが、そのためにも、
一人でも多くの方に、「未来へ」を読んでいただけれ
ばと願っています。

 最後は本のPRになりましたが、「未来へ」は、プ
レジデント社からの発行で、間もなく全国の書店に並
びます。

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ローカル空港の活かし方(6月2日)

 2日夜、飲み会の席で、そんなことが出来たら、面
白いだろうなと思う話を聞きました。

 それは、全国各地に出来たローカル空港を、もっと
うまく利用出来ないかという話です。

 というのも、我も我もと、全国に空港が建設された
ものの、採算が取れないことから、路線や便数は少な
いままで、路線を維持するため、自治体が多額の税金
をつぎ込んで、どうにか空港の体裁を保っている例も
少なくないからです。

 そこでと、この夜の飲み会の席で、ある方が提案さ
れていたのは、1ヶ月ごと月がわりに、地方と地方の
空港を結ぶ路線を、飛ばしてみてはどうかというアイ
ディアです。

 たとえば、ある年のある月は、岩手と高知を、別の
月には富山と高知をというように、お互いめったに行
けないようなローカル空港どうしを、結んでみようと
いうわけです。

 とはいえ、いきなり「来月は」というやり方では、
最初は話題になっても、そのうち乗客が集まらなくな
って、尻つぼみに終わることは目に見えています。

 そうしないためには、半年くらい前から、毎月ごと
のローカル路線を発表したうえ、旅行代理店を巻き込
んで、ツアーの募集を始めるといった工夫が必要だと
思いますが、東京や北海道・沖縄を相手に、量で仕事
をすることに慣れている代理店が、地方の支店を使っ
た、ある意味では面倒臭い客集めに、どこまで協力し
てくれるかには不安があります。

 ですから、その際には自治体も、できる協力を惜し
むべきではありませんが、この方が、ただ単なる路線
維持のために、航空会社にお金を支払うよりは、税金
の使い方として価値があるのではないでしょうか。

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MSCをご存知ですか(5月30日)

 30日夕方、高知県の森林率の高さを、県のブラン
ドマークにしようと提唱している方々から、海の資源
の、持続的な活用の手法に関しても、興味深いお話を
聞きました。

 高知県は、県の面積のおよそ84パーセントが森林
で、森林の比率が全国一高い県です。

 このため、高知県では、「木の文化県構想」や「森
林環境税」、さらには「企業との協働の森」など、森
林をテーマにしたプロジェクトに、積極的に取り組ん
できました。

 この日お会いしたのは、それをさらに進めて、独自
にデザインした「84」マークを、高知県全体のブラ
ンドマークにと提案されている方々です。

 森林組合など山に関わる仕事の、作業着のマークは
もちろんのこと、小学生がお父さんと一緒に組み立て
る、木製の「84デスク」や、商店街に置く「84ベ
ンチ」など、アイディアは尽きません。

 そのうち、ハワイで使われる「アロハ」のように、
「こんにちは」や「さようなら」も、「はちよん」と
挨拶するようになればいいねなどと、思いは次々と広
がります。

 さらに、山の物だけでなく、海の物にも「84」マ
ークをと話しがはずんだ時、そう言えばと出てきたの
が、「MSC」(マリーン・スチュワードシップ・カ
ウンシル)という、海の資源の認証制度でした。

 これは、持続可能な森林経営を国際的に認証する、
「FSC」(フォレスト・スチュワードシップ・カウ
ンシル)の海洋版で、取り過ぎによる資源の枯渇を招
かないような持続可能な漁法に、国際的なお墨付きを
与えようという試みです。

 成長第一の時代には非効率と考えられた漁法が、自
然に優しい持続可能な漁法として、見直される時代に
なったというわけですが、すでに、ノルウェイのカニ
やイギリスのタラ、さらには、日本の若狭の赤ガレイ
などが、「MSC」のロンドン本部から、認証を受け
ているといいます。

 そこで、高知の伝統の漁法の一つ、カツオの一本釣
りを、「MSC」の候補にというのが、この方々の狙
いでしたが、それが首尾よくいけば、「MSC」の認
証と「84」マークのついた、カツオのたたきの真空
パックが、お目見えするかもしれません。

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郵政改革のねじれ(5月29日)

 29日は、夕方から、東京のホテルで開かれた、自
分の出身大学の、卒業生の会に出席しましたが、日本
郵政をめぐる問題の複雑さを、あらためて感じさせる
話を耳にしました。

 それは、この会でお目にかかった、ある経済人のお
話で、この方は、小泉政権の時代から、郵政改革に積
極的に関わられてきた、いわば郵政民営化の推進派で
す。

 しかし、従来から、日本郵政の現在の経営陣には極
めて批判的で、この日も、経営陣をすげ変えるべきだ
と、持論を展開されていましたし、そのことは、しか
るべき人には伝えているとも言われていました。

 ところが、現在の経営陣をめぐる攻防を見渡すと、
郵政改革を進めてきた方々は、経営陣の続投を支持す
る立場に、逆に、民営化の流れに批判的な方々が、経
営陣の交代を求める立場になっています。

 これだけでも、ややこしいのですが、さらに、この
経済人が、与党の人材の中で、最も期待できる人とし
て名前を挙げる方は、郵政民営化の民意を受けて、現
在の政権がある以上、経営陣を変えるべきではないと
主張されています。

 となると、もつれ方もかなりのものですので、どう
やってもつれた糸をほぐすか、相当本気で取り組む人
がいないと、解決はおぼつかないと感じました。

 ここまで来てしまったものを、解決に導くのも技の
一つですが、ここまで来ないようにすることの大切さ
を、学ばせてもらった気がします。

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帯広にて(5月28日)

 28日は、昨日の釧路に続いて、帯広での講演会で
講師を務めました。

 昨日のクーちゃんの話題もそうですが、久しぶりに
地方に出ると、地域ならではの話が聞けるのが楽しみ
です。

 この日も、講演会に出席いただいた方々と、昼食を
ともにしながらお話をしていますと、その中に、地元
の十勝地方の、ローカル新聞の幹部がおられましたの
で、ご挨拶代りに、発行部数を尋ねてみました。

 すると、夕刊だけの発行で、9万部弱だと言われま
すので、経営上の理由か何かで、朝刊をやめたのかと
思ったのですが、そうではなくて、創刊当初から、夕
刊だけ発行しているといいます。

 その理由は、朝が早いからで、北海道の十勝地方く
らいまで北に上がりますと、3時半から4時頃には夜
が明け始めるため、朝刊が配られる時間帯には、すで
に農作業に出ている人が多いということなのです。

 東京でもそうでしょうが、南国の高知にいますと、
朝の4時頃は、まだあたりは真っ暗ですので、夕刊紙
に特化する事情から、日本の南北の広さを再確認しま
した。

 その農作業に絡んでは、アジア向けの長芋の輸出が
好調だといいます。

 それも、一般向けの日常の食用や、漢方の材料とし
て出ているとのことで、農産物の輸出といえば、中国
のお金持ちをターゲットにした、高級な果樹などをイ
メージしていた常識が覆されました。

 お話を聞いていて、農産物の輸出も、そこまで大衆
化してきたのかと思うと同時に、お金持ちの層だけで
なく、一般向けを想定した、幅広いマーケティングの
必要性を感じました。

 さらに、近づく衆議院選挙の話題では、「この選挙
区では、候補者双方とも傷を負っているので、お互い
にどれだけ票を減らすかの、負け合戦の様相を呈して
いる」との解説がありました。

 ご当人の名前を出すのは失礼ですので、ここでは控
えますが、お互いにどんな傷を負っているのか、関心
のある方は、このあたりの選挙区事情を、ネットか何
かで調べてみて下さい。

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クーちゃん北上(5月27日)

 27日、講演のため北海道の釧路を訪ねましたが、
釧路川周辺で目撃されていたラッコのクーちゃんは、
すでに北に向かった後でした。

 この講演は、通信社の主催する会に招かれたもので
すが、釧路川の河口付近に、一匹のラッコが姿を見せ
たのは、今年2月のことです。

 満潮で水位が増したときには、堤防の内側の棚に乗
って日向ぼっこをするなど、可愛いしぐさが人気を呼
んで、釧路川にちなんだ、クーちゃんとの愛称がつけ
られました。

 クーちゃんの様子は、テレビでも見たことがありま
したので、もしかして、まだ釧路に滞在中かと思いま
したが、すでに2週間前に、釧路を離れたとのことで
した。

 ラッコにとっては、釧路は暑くなり過ぎたため、納
沙布岬を回って北の海に向かったのだろうとの解説で
す。

 さらに、解説によれば、そもそも釧路に現れたとき
に、根室付近で誰も目撃していないのはおかしいとい
うことから、夜の街では、どうしてクーちゃんが釧路
まで来たかについて、ある憶測が流れていたとのこと
でした。

 それは、漁師が網にかかったラッコを殺すわけにも
いかず、かといって海に帰すと、雑食のラッコに魚場
を荒らされるので、釧路の港まで戻って、釧路川の河
口付近に投げいれたのではとの憶測です。

 中には、「だから、釧路まで親切に面倒を見てくれ
た、漁師のおじさんにお礼を言おうと、河口付近をう
ろうろしていたのではないか」と、ラッコの恩返しを
思わせる話まであって、夜の街にも、格好の話題を提
供してくれたようです。

 人間の勝手な推測をよそに、クーちゃんは、今頃ど
こでどうしていることでしょう。

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2009/05/25

地球人生のパスポート(5月24日)

 24日午後、先日53歳の若さでこの世を去った、知人の女性のお別れ会に出席しましたが、彼女が、以前からご主人には、自分の地球人生のパスポートは、有効期限が59年だと言っていたと聞いて、いわく言い難い不思議なものを感じました。

 20歳の時、台湾から来日した彼女は、縁あって、同じく菜食主義者だったご主人と結ばれ、彼の故郷である高知に移り住みました。

 私との初めての出会いは、18年前、高知県の知事選挙に出馬するため、高知に越してきて間もない頃のことで、高知市内のある神社の前で、ご夫妻から、声をかけられました。

 台湾出身の奥さまはもちろん、ご主人も中国語が堪能でしたので、知事になってからも、国際交流の活動や、中国出張の際の通訳の仕事などを通じて、おつきあいが深まりました。

 その彼女が、余命いくばくもないと知ったのは、ごく最近のことで、聞いた時には、まさかと驚きましたが、緩和ケアの病棟を訪ねた時、いつもと変わらぬ明るさで出迎えてくれたのには、これまた驚かされました。

 その際、突然襲った運命をそのまま受け入れて、死をまったく恐れない態度に、何と強い人なのかと感じ入りましたが、それと同時に、じめじめした別れにはしないという、彼女の優しさと心遣いも感じました。

 それだけでも、十分にすごい人ですが、この日の式で、お別れの言葉を聞く中で、その思いはさらに強くなりました。

 「明日は何があるかわからないと言ってきた。だから、死を宣告されてもびっくりはしない」

 「抗がん剤も飲まないし、痛み止めも飲まない。これまで元気で、病気の人の痛みを知らなかったから、その痛みがわかってよかった」

 (医学生である女性に)「何か質問はないの。ガンの患者が目の前にいるのだから、絶好の機会でしょ」

 いずれも、見舞客に語った彼女の言葉です。

 最後に挨拶に立ったご主人は、ご自身が台北に留学をして、日本語の先生として、一定の成功をおさめた後、日本に帰国するにあたっての、エピソードを語り始めました。

 台北で購入した車を手ばなしたところ、100万円で売れたため、彼は、それを元手に日本での暮らしを始めようと、奥さまに提案しました。

 すると彼女は、台湾で得たお金は、台湾に寄付をして返しなさいと言います。

 それでは、日本での暮らしが不安だという彼に対して、奥さまは、「神様が見てくれているから」と譲りませんでした。

 やむを得ず、100万円を台湾に寄付して帰国したのですが、「神様は確かにいました。本当に困った時に、名前も明かさずに寄付をして下さる方が、何人もいたんです」と、彼はこの日初めて、声を詰まらせました。

 さらに、ご主人は、初めて出会った頃から彼女が、「自分の地球人生のパスポートは、有効期限が59年だ」と言っていたことを、明かしてくれました。

 それからすれば、彼女は、パスポートの有効期限を3年残して、地球人生を終えたことになりますが、その話を聞きながら、変な宗教的な意味ではなく、純粋に神様のような人ではなかったかと、不思議な思いに駆られました。

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新型インフルに学ぶ(5月23日)

 23日午前、県内の大川村で、植樹の活動に参加しましたが、この行事にも、新型インフルエンザが影を落としていました。

 といいますのも、この行事は、宮崎駿さんのスタジオジブリと関係のある東京の企業が、森づくりのお手伝いをと、10年余りにわたって続けてくれている行事なのですが、新型インフルの影響で、県外から多くの人が集まるイベントは、なるべく自粛してほしいとの、要請を受けていたからです。

 とはいえ、年に一度のせっかくの機会ですので、東京からお見えの皆さんと一緒に、クヌギの苗の植樹など、予定していた行事は滞りなくこなしました。

 また、作業の後の恒例のカレーライスも、みんなで楽しくいただきましたが、こんな山の中での行事にまで、新型インフルが影を落としていることを知って、あらためて、新型インフルをめぐる、一連の動きを振り返ってみました。

 ここからは、今にして、結果論として感じることですので、これまでの経過を批判する趣旨ではありませんが、まずは、水際でウィルスの侵入を止められなかったことから、何を学ぶかです。

 それは、今回は毒性の低いものだったから、よかったようなものの、そうでなかったら、一大事だったからです。

 と考えると、毒性がわからない段階で、本気で水際で食い止めようとするのなら、入国者や帰国者の人権をある程度無視してでも、徹底した隔離対策をとる必要があります。

 一方、これまでの諸外国での発生状況から、季節性のインフルエンザと、毒性はさして変わらないと判断していたことが、国内への侵入を許した原因であるならば、マスコミもふくめて、対応が大げさすぎるということになるでしょう。

 一年前には、年金問題や、後期高齢者医療制度の問題で、半年前には派遣労働者の雇用問題で、テレビに露出していた同じ責任者が、それぞれの問題のその後もあいまいなまま、今度は新型インフル対策の責任者として、再びテレビに露出を繰り返しています。

 ある面では、意図的なものを、ある面では、現象だけを追っていく、対症療法の愚かさを、さらには、ことの軽重の判断抜きに、新しく起きたことに飛びついて、一色に染まっていく怖さをと、新型インフルエンザからも、多くのことが学びとれます。

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無邪気さを表す力(5月22日)

 22日昼前、香美市香北町で開かれている、漫画家の横山隆一さんの、生誕100年を記念する展示会を見に出かけました。

 高知県出身の横山さんとは、知事になってからのおつき合いでしたから、晩年の横山さんしか知らないのですが、いつお会いしても、お酒の大好きな、愛すべきお爺ちゃんでした。

 そんなご縁で、今回、横山さんの生誕百年を記念した展示会が、県東部の香北町にある、後輩の漫画家やなせたかしさんの、「詩とメルヘン館」で開かれるにあたって、横山さんとの思い出を綴った一文を寄稿しました。

 このため、この日、県の東部に出かけた帰りに会場に立ち寄ったのですが、そこに展示されている横山さんの作品を見て、これまで横山さんのことを、あまりにも知らなさすぎたと反省しました。

 というのも、横山隆一さんといえば、新聞の連載漫画、「ふくちゃん」のイメージが強すぎて、それ以外の作品を、よく知らなかったことに、あらためて気づかされたからです。

 会場に展示されていたのは、いずれも、子供向けの雑誌、キンダーブックに連載されていた4コマ漫画ですが、ペガサスのような羽を持った子馬が主人公の、「空とぶ子馬」も、白い子犬の日常の出来事を描いた「ころころくん」も、ほとんど初めてお目にかかる作品でした。

 それらの作品を見ていて感じたのは、心やさしいストーリー展開とともに、絵のうまさとキャラクターの可愛らしさです。

 例えば、空とぶ子馬が、友達の小鳥たちからの知らせを受けて、川におぼれた子ブタを救いあげると、いたずら好きのワニが、後ろから、子馬のしっぽに噛みついて邪魔をします。

 それを見ていた小鳥たちが、羽やくちばしでワニをくすぐると、ワニはたまらず川に落ちるのですが、くすぐられて笑ったワニの顔は、とても可愛らしいものでした。

 これらの作品の横には、横山さんの言葉が添えられていましたが、「子供の心に、優しさを植えつけることはできない。だから、読んでいるだけで、優しい心が育ってくるような漫画を描きたい」という言葉に、横山さんならではの、優しさが表れていました。

 お元気だったら、今年100歳を迎えた横山さん、そして、今年めでたく90歳の卒寿を迎えた、アンパンマンのやなせさんと、いくつになっても、無邪気な優しさを表現出来る、二人の漫画家を生み出したことは、高知県の誇りとすべきことでしょう。

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信号機の謎(5月20日)

 20日は一日中、挨拶まわりのために、高知市内を巡りましたが、道すがら信号機を眺めていると、何故だろうと思うことがいくつかありました。

 その一つは、所々の交差点にある、信号機の横に取り付けられた、アルファベットの一文字です。

 このところ、高知を出ることがほとんどありませんので、他の地方都市がどうかはわかりませんが、高知では数年前から、この信号機のアルファベットが、目につくようになりました。

 その後、何人かに、これは何かと尋ねたのですが、事情を知っている人がいなかったため、しばらくは忘れていました。

 ところが、この日市内をまわっているうちに、またアルファベットの文字が気になったため、運転をしてくれている、わが事務所のスタッフに、「あのアルファベットの文字はなんだろうね」と、あらためて尋ねてみました。

 すると、交差点または道路の名称を、ローマ字で綴った時の、頭文字ではないかというのです。

 そう言われてみれば、北環状と呼ばれる道路の交差点は「K」、駅前は「S」、知寄町(ちよりちょう)の交差点は「C」と、確かに、ローマ字綴りの頭文字と符合しています。

 なるほどと、一旦は納得をしたものの、県庁前にさしかかると、そのT字路は「U」、高知城の追手門に入る交差点は「R」となっていたため、謎が再びよみがえります。

 それにしても何のためにと、再度スタッフに投げかけてみますと、テレビカメラで渋滞状況を監視する、管制センターの業務と関係があるのではないかと、これまた、当たらずといえどもと考えられる答えが返ってきました。

 もう一つ、信号がらみで謎に感じたのは、鉄道高架の事業で踏み切りがなくなった場所に、新たにつけられた信号機です。

 というのも、鉄道の線路を上にあげて踏み切りをなくすという、鉄道高架の事業がなぜ必要かを、地域の方々に説明するにあたって、まず強調したのが、踏み切りがなくなれば、朝のラッシュ時などの、交通渋滞が解消されることだったからです。

 ところが、この日、線路の高架化の事業が終わった地域を通りますと、元の踏み切りに代わって、今度は信号機が設置されているのです。

 線路が通る高架の下は、道路になっていますから、何らかの安全策は必要でしょうが、すべての箇所に信号をつけてしまったら、踏み切りとどう違うのかと疑問を感じました。

 知事として、この事業の推進に関わってきた者が言うのも、天につばするような話ですが、踏み切りがなくなれば、道路の行き来がずっとスムースになると、住民のみなさんに説明をした時に、この場所に、踏み切りに代わって信号機を設置することを、みんな知っていたのだろうかと謎が残りました。

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トリとカエル(5月19日)

 19日午前、高知市内の事務所をお尋ねしますと、トリとカエルのキャラクターが仲良く並んだ、大きな壁掛けが目に入りました。

 左側には、両手をあげるように羽を羽ばたかせて、ニコニコとほほ笑む赤いとさかのニワトリが、右側には、右手のこぶしを力強く握りしめた、立ち姿のカエルの漫画が描かれています。

 実は、このデザインは、ある業界団体のPR用のマークなのですが、さて、どんな分野の団体か、おわかりになるでしょうか。

 答えは、ビルや住宅など、建物の内装全般を担当する、インテリア業界の全国組織で、カエル君の左手には、巻いた壁紙がしっかりと握られています。

 ここまで説明すれば、勘のいい方はおわかりでしょうが、壁紙をはじめ、カーペットやカーテン等が、古くなったら「取り換える」という、リフォームの呼びかけを、トリとカエルに託しているわけです。

 本来ならば、新築の建物の内装を、一から全て手がけるのが本意でしょうが、全国的に、ここまで景気が落ち込む中では、それもままなりません。

 そこで、全国の業界をあげて、リフォームの需要拡大に力を入れようという思いを、「トリ・カエル」の言葉に込めているわけですが、今は、他の業種からのリフォームへの参入もありますし、リフォームをかたって、多額の工事費を請求した事例が、社会問題になったこともありました。

 このため、トリとカエルが描かれたマークが、専門性と信頼性の「マル適マーク」になればという、真面目にがんばる企業の願いも、込められているとのことでした。

 なるほどと思いながら、カエルをサルにかえたら、「取り去る」になるから、何の業界のデザインに使えるだろうかなどと、余計な事を考えてしまいました。

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