「非国民」の声が聞こえる(4月21日)
イラクで人質として拘束されていた、あわせて5人の日本人が、20日までに、全員解放されて帰国しました。しかし、5人を迎える国内の空気は、決して温かいものではありません。
振り返ってみますと、現在のイラクの状況は、アメリカのイラクへの侵攻がきっかけになっていることは、疑いの余地がありませんから、「イラクが大量破壊兵器を隠し持っている」という侵攻の理由が、根拠のあるものだったかどうかは、今後検、証の必要があります。
また、イラク各地で市民のおかれた現状を、それぞれの現場から伝えていくこも、これからのイラクを考える上で欠かせない作業です。
それとあわせて、現在のイラクに求められていることは、政治面だけでなく、経済や生活の面もふくめた様々な分野での、立ち直りを助けるための人道支援です。
では、このように、イラクにとって今必要なことと、イラクで人質になった5人の日本人が、イラクでしてきたことや取り組もうとしていたこととを、見比べてみたらどうでしょう。
もちろん、それぞれの動機の純粋さや活動のための準備の周到さには、濃淡があったかもしれませんが、5人はいずれも、イラクの現状を伝えるとか、打ちひしがれたイラクのこどもたちに、人道支援の手を差しのべるといった形で、イラクに今求められている使命に、応えようとした人ばかりでした。
それならば、たとえ、自衛隊の派遣に対する考え方などに違いがあったとしても、また、ご家族や本人たちの発言に、違和感を感じる内容があったとしても、5人の活動そのものは、もう少し温かく受けとめても良いのではないかと思います。
このことに関して、例えば、人質の解放に尽力をしてくれたイスラム聖職者協会のクバイシ師は、「日本の民間人による人道援助は成功しているのに、自衛隊が来たことによって、日本の印象が悪くなってしまった」と発言しています。
また、アメリカのパウエル国務長官は、「誰もリスクを引き受けなかったら、何も前進はしない。日本人は、そうした市民がいることを誇りに思うべきだ」とも言っています。
ここ数年、日本の国内では、若者が目的意識を失っているのではないかとか、若者にボランティア活動を義務化してはどうかといったことが、さかんに議論されてきました。
にもかかわらず、たとえ未熟ではあっても、また、政府の考え方とは違う立場であっても、こうした志を持った若者を、よってたかって批判するような風潮が広がるとすれば、次に続く志の芽が、摘まれてしまうように思えてなりません。
今朝のテレビを見ていましたら、自宅に戻った被害者たちが、自宅前に家族とならんで、深々と頭を下げる光景が映し出されました。それ様子を見ていて、何か異様なものを感じると同時に、そのうちどこかから、「非国民」といった声が、浴びせかけられはしないかと不安になりました。
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コメント
リンクさせていただきました。
投稿: UJI | 2004/05/04 23:39
「自己責任」の代償はたった300万円などという、あきれた見出しがつくほど日本のメディアは腐っているのか。最近の【イラク戦争】日本人拉致事件 関連ニュースは、なんだかおかしい。自らの判断で戦地へ赴いたことへの「自己責任」と、救出にかかった費用に関する「自己負担」とは、まったく別問題であり、一緒くたに論ずるべきものではないはず。
今井さんは「事件について自分なりに整理し、話せることは話したい」として、郡山さんと一緒に30日午後、記者会見に臨む。一方、高遠さんは感情が不安定で、状況はあまり変わっていないとされ、医師も会見には耐えられないと診断しており、会見には欠席するという。
私たちが耳を傾けなければいけないのは、混沌とした現場を見てきた彼らの声であり、政府官僚の責任回避発言ともとれる自己責任という妙な論調に惑わされてはいけない。
投稿: mon ange | 2004/04/28 07:38
ご意見に敬服いたします。そのとおりでございます。
私のHPにリンクさせて頂きました。
投稿: 塀本信之 | 2004/04/26 05:27
今回の人質及びその家族に対するバッシングの裏には、自衛隊のイラク駐留を続けたい日本政府の思惑と、それに迎合する一部マスコミの姿勢があると思います。最初に自己責任を言い出した名は官邸周辺ですし、それに追随したのが読売新聞です。読売が政府の広報誌となっているのは以前からですが、私たちはこうしたマスコミにも、きちんと非難を加えていく事が必要だと思います。それにしても人質となった人々の行為を、賞賛したのがパウエル長官で、バッシングを非難したのがニューヨークタイムズとは、虎の威を借りたい首相と御用マスコミは、しょせん狐程度のの品性しか持ち合わせていないということでしょうか。
投稿: 横田 真明 | 2004/04/25 17:42
自治体の首長さんがこんなにはっきり、人質事件のことについて発言されていることに、そしてまったく同感だということに大変励まされています。イラク戦争が大義なき侵略戦争であり、それにアメリカの言いなりに世論の反対を無視し自衛隊を派兵した政府こそ憲法違反として責任を問われるべきでしょう。
人質になり被害者である人たちに政府が先んじて「自己責任」と攻撃するなんて許せない。そしてそれをまるで自分の考えのように思いこまされて口にする人たちに情けない、悲しい思いをしています。イラクの子どもたち市民の命、自衛隊として派兵されている人たちの命、アメリカの兵士の命これ以上米国政府の傲慢さによってて犠牲がもたらされること、認めません。
そういえば私の住む東京の知事もはっきり発言していました。しかし橋本知事とは真逆のこと、日頃の言動から当然推し量れるもですが、ああヤダ!許せない。
投稿: 新 千明 | 2004/04/25 17:14
お詫びです。
トラックバックしたのですが、ご覧のように文字化けしてしまいました。
文字コードの扱いによるエラーだと思いますが、改善できません。
たいへんお手数をかけて申し訳ありませんが、削除していただければ幸いです。
投稿: YAMAZAKI YOSHIHIRO | 2004/04/25 09:37
拉致帰国者に対するパッシングに何か恐ろしささえ感じていたところでした。何かにつけ自分さえ良ければの世風の中で、またアメリカに従うことでのみの日本の外交に日本人として情けなく感じていたものにとって、今回の5人の行動は、誇りとすべきものと言えます。日本政府の態度は、また外国からの笑いものにされる種を蒔いた稚拙といえます。橋本知事のあたりまえの発言が、ニースになる日本。なんとかしましょう。
投稿: 佐藤 憲吉 | 2004/04/25 09:22
拉致帰国者へのパッシングには、こころからの怒りと、日本人として情けなく感じていたところでした。
自国の考えも示せず、常にアメリカ様々の政府の態度、自分さえよければの国民的風潮の中にあって、5人が示した行動は、日本人として誇りに思われこそすれ、非難するなどとんでもないことです。橋本知事の言う当たり前の発言がニースになる。
この日本どうなっているのでしょう。
投稿: 佐藤 憲吉 | 2004/04/25 08:58
すこしメディアの報道も、ネットのBBSの書き込みも異常でした。最近少し正常化してきました。
でも生活観に根ざした「全体主義」の台頭を意識しています。
投稿: 西村健一 | 2004/04/24 20:56
知事が橋本さんで良かったと実感しました。
こういう考え方をする橋本知事を、高知県人として
誇りに思います。日本全国の若者や、頭の固い人たちに
読んで欲しいと思いました。
投稿: あんず | 2004/04/24 14:09
コメントを拝見して「よかった」が率直な感想です。
彼らへのバッシングを見ていて、
「だから行政に任せればいいんだ」という風潮となること
が市民としての社会への関わり方に水をさすことになるの
ではと危惧しています。
社会のことに関心を持って活動する人のことを「社会人」
というのであって、「自分さえよければ」「そんなことは
行政が」は、それこそ自己責任のないことだと言えるのだ
と考えます。
投稿: 竹村利道 | 2004/04/23 16:33