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2006/06/26

蟲になりても(6月22日)

 22日午後、僕が序文を書いた、元死刑囚の歌集の復刻版を、その出版に情熱を注がれた、亡き編著者のご長男が、知事室まで届けて下さいました。

 「蟲になりても」と題されたこの本には、1960年に、宮城拘置所で刑死した元死刑囚が、高知歌人という、県内の同人誌に投稿した歌を中心に、高知歌人クラブを主宰されていた女性ら、歌詠みの仲間と彼との交流の思い出が綴られています。

 最初に出版されたのは、1962年のことですが、すでに他界されている、編著者の女性のご長男が、是非とも復刻版を出したいと奔走された結果、文芸春秋社が、その願いをかなえてくれることになりました。

 その際、昔の仕事の関係で、その主宰者の女性やご長男とつき合いのあった、僕の従兄を通じて、復刻版の序文を書いてほしいとのご依頼を受けたのが、もう半年余り前のことでした。

 序文にも書きましたように、最初は、仲のよい従兄から頼まれた義理でというのが、正直なところでしたが、読み進むうちに、思わず胸が熱くなるような、優しさと重みのある作品でした。

 ですから、かなりの思い入れを込めて、序文を書かせてもらいましたが、その復刻版が出来上がったと、この日ご長男が、知事室まで届けて下さったのです。

 「蟲になりても」のタイトルは、「刑場に果てる命を嘆きつつ蟲になりても生きたしと思う」という、元死刑囚の辞世の歌の一節から採ったものですが、タイトルの文字や全体の装丁も、いずれも内容にふさわしい出来上がりで、少しでも多くの人の目に留まればと思いました。

 今週は、光市で起きた母子殺害事件の、最高裁での差し戻し判決もありましたが、出来たばかりの本を手にしながら、同じく殺人犯が話題の中心とは言え、これほどまでに印象が違うものかと思いました。

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