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2006/08/28

百年後の価値(8月12日)

 12日午後、高知市内のお掘に蓋をして、道路を作ろうという計画に、反対している方とお話をしているうちに、去年、東京大学で開かれた、環境デザインの会でスピーチをした際に、会員の方からいただいたお便りを思い出しました。

 この環境デザインの会は、主催をされている東大の先生が懇意な方だったため、是非にと請われて、20分ほどのミニ講演をしたのですが、その時には、高知県に文化環境部という名の部を立ち上げた際に、そこに込めた思いなどをお話ししました。

 その講演を聞かれた方が、そこまでの思いがあるのなら、都市計画の決定がなされているとはいえ、高知市内の横堀に蓋をかけて道路にするといった事業は、見直すべきではないかとのお便りを下さったのです。

 お便りは、国土交通省が、東京の日本橋の上空に首都高速を建設したのは、失敗だったと反省をしている時代に、お堀という歴史的な遺産をつぶして、道路を作るという感覚が信じられないという、手厳しい書き出しで始まります。

 続いて、小樽運河も門司港の内港も、そして油津の運河も、いずれも埋め立ての危機に遭いながら、それを中止することで、水辺を活かした、歴史的な魅力のある街として蘇ったという事例を挙げながら、高知県は観光立県を目指しているはずなのに、この事業は、歴史という最も観光に重要な遺産を、捨て去ろうというものだと指摘されています。

 あわせて、周辺の住民の皆さんは、お堀の価値に気づいていない可能性もあるが、小樽も油津も、かつては汚いドブだったので、高知でも、お堀を活かした街づくりは十分に可能だと綴られています。

 とは言え、お便りの主は、決して、環境保護や文化財保護に、偏った思いを持っている方ではなくて、むしろ、広い意味での土木の専門家ですので、一旦役所で都市計画決定された事業が、簡単には止まらないこともよくご存知です。

 このためこの方は、財政難を理由に方向転換することで、関係者のメンツを保つことが出来るのではと提案されていましたが、僕は逆に、正面から文化や環境の価値を打ち出していく方が、国には受けいれられやすいのではないかと感じています。

 と言うのも、知事になって間もない頃、海の中に巨大なコンクリートのケーソンを据えて、ヨットハーバーなどを作ろうという計画を中止した時、県の担当者は、環境を前面に出したのでは国の理解を得られないとの判断から、安全性を確保しようとすると、採算が厳しくなるからという理由を用意してきました。

 ところが、後になって、当時の運輸省の港湾技術部門のトップの方から、「なぜ最初から、環境問題を事業中止の理由に挙げてくれなかったのか。すでに国の事業として採択しているものを、いまさら安全性や採算性に問題があると言われることは、国として不名誉なことだが、今の時代に、環境をより重視して事業を中止することは、何ら不名誉なことではない」との、思いの丈を告げられたことがあったのです。

 先述の環境デザインの会でも、僕とともに、行政サイドから講演をされたのは、国土交通省の技術部門のトップの方でしたから、今や財政難よりも、文化や環境に重きを置いた街づくりを訴えることの方が、国にとっても、より受けいれやすい時代になっていると思うのです。

 高知市内では、県外の企業が落札をした、お城の近くの土地から、歴史的な空堀が見つかったという事例もありますので、これらを活かした、50年・100年をかけての街づくりの視点が、今求められていると感じています。

 などと考えてきますと、県庁の全ての部署で、文化や環境への配慮が仕事の基本になるように、文化環境部の果たす役割は、いささかも色褪せていないと感じました。
  

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コメント

堀を生かせば道路よりも生活も経済もより豊かに暮らしがたつのではないか、そのような観点から新堀を我々の生活に生かす運動をと、歴史を学び自然環境を考える取り組みの中で考えています。

ぜひ、多くの県民と県庁の方々で再度ワークショップを持ち、心置きなく話し合い、民主主義の姿の見えるかたちで、工事の手を上げるなり休めるなりをしてください。

ことを急いても、百年の計を誤っては何にもなりませんから。

http://white.ap.teacup.com/shinbori/

投稿: 下司孝之 | 2006/09/25 00:23

平成18年8月24日
自由な土佐の誇りは失われました。
ぷらっとこうち運営会議の独断により、高知県の公共掲示板「ぷらっとこうち」が突然閉鎖されました。
直前の8月15日には同掲示板で知事の熱い想いが語られていたのに残念です。突然の出来事ですが、これが県民不在の県政の兆候でなければいいのですが・・・。
平成18年9月2日
「自由な高知を創る会」を設立。県民主導の協働のメディアの試みとして「自由な高知を創る会」を県費無し、費用0で設立しました。中身は1兆円にするのを目標にして、私たちはこの場をたんにおしゃべりの場だけとするのではなく、実践活動との連動により、新しい協働のメディアを、自分たちで作りあげていくというスタンスで、わが愛する高知県に自由なる「土佐」の爽風をおこし、改革と創造の場を設けていきたいと思います。

投稿: 竹内兆民 | 2006/09/03 01:19

 橋本知事らしい態度表明に双手を挙げて賛成します。21世紀は「箱物」に投資する時代ではなく、「人間」に投資する時代だと思います。
 ブログ村の住民も随分と心配していました。リフレッシュ休暇明けの爽やかさで県庁の構造改革に励んでください。
 「ぷらっとこうち」を是非再開してください。「ぷらっとこうち」は県職員の私有物ではないからです。
 

投稿: 堀 俊明 | 2006/08/30 20:06

大変興味深く読ませていただきました。橋本知事が、知事就任時より掲げておられた、「田舎のよさを生かそう!」という言葉を、彷彿させられました。
改めて、「高知にきてくれてありがとう!」と、言わせてください。
高知の将来を考えて、活動していらっしゃる活動家さんたちの、最高の励みになったとうれしく思います。
これからも、高知のためによろしくおねがいいたします。
ぼくも、微力ながら、がんばります。

投稿: 好浦銧一 | 2006/08/30 12:43

 文化環境部がそれほどの「意義目的があってこしらえられた部署」であると初めて知りました。そうであるならば、県の工事担当部署に「文化環境・自然環境への配慮」を末端まで徹底させていただきたいものです。

 新堀川を埋め立て暗渠にする「県道はりまや橋ー一宮線」工事では、無造作な大正橋水門付近に張られたオイルフェンスによって、コアマモという植物が絶滅しました。

http://tigyougouitu.cocolog-nifty.com/aaakakugen/2006/08/post_29.html

 また近くの歴史資源の中江兆民の生家を示す「兆民どうり」の表示も「ぞんざい」に工事関係者に扱われとても残念です。

http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/post_1e7f.html

 歴史の産物である階段護岸も道路工事により道路の地下に「保存」されるという説明には驚きました。また県の説明資料には「由来不明」と書かれてありましたが、ちゃんとした歴史的な理由もありました。

http://dokodemo-blog.cocolog-nifty.com/blog/cat3338570/index.html

 今後 文化環境部の一層の充実を県民として期待しています。

投稿: 西村健一 | 2006/08/29 10:06

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