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2006/11/06

制度を守るためにも(10月24日)

 24日午前、東部地区での出張知事室の一環で、生活保護を担当している職員と懇談をしましたが、話を聞いているうちに、制度を守っていくためにも、思い切った見直しが求められていると感じました。

 まずは、それぞれの職員から、処遇困難な案件の説明を受けましたが、その一つは、20年余り前から生活保護を受けている、70歳代前半のご夫婦のケースです。

 このご夫婦の場合、かかりつけの病院に行くには、一時間に何本も走っていないバスを乗り継がないといけないため、頻繁にタクシーを使います。

 このように、通院にタクシーを使う場合には、制度上は主治医の判断が必要ですが、このご夫婦に対する主治医の判断は、「いつもタクシーを使わなければいけない状況ではない。バスでも通院できる」というものでした。

 ところが、実際には毎日のようにタクシーを使うため、毎月14万円位の請求が、タクシー会社から福祉保健所に回ってきます。

 その点を指導すると、かえって、タクシーを利用する頻度が高くなりますし、血圧が高いというので数値を尋ねると、「そんなことは医者に聞け」、「死んだらどうする、一筆かけ」と、ケースワークの担当者に詰め寄るありさまです。

 次は、暴力団とも関わりのある30代の男性の事例で、大阪で起こした覚せい剤事件で服役をした後、高知と大阪とを行き来しているため、居住の実態がないことを理由に保護を打ちきりました。

 すると、繰り返し電話をかけてきて、「服役中に車の免許が切れたので、免許をとるのに必要な費用を出せ」とか、「マンションの代金を出せ」、「医療費を出せ」などと、声高に要求を繰り返します。

 同様に、覚せい剤事件で5回の逮捕歴をもつ50代の男性の場合は、質問に対して「できると思う」と答えた後で、出来ないとわかったりすると、取り返しがきかなくなるため、担当者は、警察のOBに同行してもらっています。

 こうしたことから、毎日、仕事への達成感よりも、今日も何事もなかったという安堵感の方が先に立つという、担当の職員の言葉が重く胸に響きました。

 一方、30代の初めから障害年金を受けているという、50歳代の女性は、年金を担保に借金をして、生活保護を受けているため、生活費をまとめては支給せずに、小分けにして渡しています。

 ただ、問題はこれだけではなく、この家のハイティーンの娘さんは、生まれた時から生活保護のもとで育っているため、親が仕事をする姿を見たことがありません。

 このため、高校生にあたる年代で、妊娠をして子供を産むという生活で、担当の職員は、生活保護の世代間の継承を止められないことに、もどかしさを感じていました。

 こうした事例の報告を聞いていますと、職員の能力の使い方としても、大いなる疑問を感じますし、一件ごとのケースに潜む問題点に、社会の関心が向けられ始めた時には、財政的な負担を地方につけ回していこうとする国に、いいように利用される危険があるとも感じました。

 というのも、生活保護制度の中での地方の負担を増やそうと、国が画策を続けている現状の中で、地方がこうしたケースをそのままにしていると、「だから、それならうちも生活保護を受けようと、安易に受給に走る傾向が助長されるのだ」と指摘をされた時に、的確に反論することは難しいと思うからです。

 ですから、地域の実態を最もよく知っているはずの町村が、県に丸投げをする現状でいいのか、また、高齢者がふえたことによる受給者の増加分を、社会福祉協議会に受け持ってもらうようにしてはどうか、さらには、プライバシーとの折り合いはあっても、もっと個別の情報を公開することが、全体の公益性につながるのではないかといった、制度の見直しに関わる数々の声を、真剣に、それも早急に検討すべき時だと感じました。

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