武士は食わねど地方分権(7月12日)
12日は一日中、熊本市で開かれた、全国知事会議に出席しましたが、税源移譲をめぐる議論の中で、地方交付税を抜きに、「武士は食わねど地方分権」とはいかないとの意見を述べました。
今年の知事会議の一番のテーマは、第二期の地方分権改革に、いかに取り組むかでした。
というのも、第一期の分権改革には、大きな反省が残ったからですが、例えば、高知県のように財政力の弱い県では、国の補助金を廃止した分、国税を地方税に移したとしても、地方間の税源の厚味の違いから、税収は減らざるを得ません。
もちろん、そのことは初めからわかっていたことですが、それでも、補助金とワンセットになった、数々の国の制約から開放されることで、地方の自由度が増せば、その方が得るものは多いと考えたのです。
ところが、実際には、三位一体の改革という言葉に惑わされているうちに、地方交付税など、地方にとってかけがえのない財源が大幅に削減される一方、地方の側の自由度は、ほとんど増さないままに終わりました。
ですから、地方交付税の大幅な削減によって、ぎりぎりの状況に追い込まれた今、第一期の分権改革と同様に、国の補助金を廃止して、その分の国税を地方税に移すというやり方だけでは、とてもついていけないとの思いがあります。
こうした背景から、この日の会議でも、具体的な数字として、国税と地方税の比率を1:1にするため、5.9兆円の国の補助金を削って、その分を、地方消費税や個人住民税の形で地方に移した時に、47の都道府県間の税収のばらつきが、どれくらい広がるかの試算が示されました。
それによると、増収になる自治体が12、逆に減収になる自治体が35で、増収分と減収分それぞれの総計は、1兆3800億円にのぼるとの試算が示されました。
これをならそうとすれば、地方交付税とは別に、都道府県間の税収の違いを調整する機能が必要になりますし、最大で4600億円の増収になると予測されるような、大都市部の自治体からは、自分たちの財源を横取りするのかという不満が出て、地方の間に亀裂を生じる心配があります。
こうしたことから、この日の会議でも、「増税を含めて、全体のパイ(税収)をふくらますことを考えるべきだ」という意見に始まり、上述のような、「同じパイの中で、国税を地方に移す」という議論、さらには、ふるさと納税のように、「同じパイの中で、地方税どうしでやりくりをする」考え方など、様々な意見が述べられました。
さらに、その背景には、国と地方が受け持つ、仕事量の多少から考えて、国税と地方税の比率を、現在の6:4(3:2)から、5:5(1:1)に改めるべきだという、先ほどの試算の基になった考え方が絡んでいますし、もっと根本に立ちかえれば、国と地方が受け持つ仕事を、一から見直す必要があるという意見も出てきます。
夜遅くまでの長い議論を聞きながら、こんなことをあれこれと考えるうち、そもそも、地方間にある差をならして、基本的なサービスを実施する財源を確保するためにある、地方交付税の機能の再確認が、何よりも大切ではないかと思えてきました。
そこで、地方分権の旗は、掲げ続けなくてはいけないという前提のもとに、「さりとて、地方交付税が大幅に削減された現状の中で、分権の議論にようやくついて行っている、高知県のような地方があることも考えてもらいたい。本県にとっては、地方交付税の確保が何よりも大切なテーマで、それなしに、武士は食わねど地方分権とはいかない」と、高知県の立場を強調しておきました。
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