立夏の蠅(5月5日)
この日、昼過ぎからお訪ねしたお寺の部屋で、蠅の飛ぶ音を耳に
しましたが、立夏とはいえ、蠅は早すぎるだろうかと、わが耳と目
の確かさに、いささかの不安を感じました。
このお寺は、県中部の佐川町にある青源寺で、土佐藩主山内家の
筆頭家老だった、深尾家の菩提寺として1603年に創建された、
庭の美しい禅寺です。
このお寺の住職のお母さまは、93歳で現職の保育園長をされて
いるという元気なおばあちゃまで、以前から親しくさせていただい
ていますが、この日は、保育のお仲間が何人かお寺にお出でになる
と聞いて、遊びにうかがいました。
認定こども園の制度への心配など、保育にまつわるお話はもとよ
り、ご住職のお母さまの思い出話などを楽しく聞くうちに、ブ~ン
ブ~ンという音と、硝子戸に虫のはねが当たる音が聞こえます。
ちらりと横目で見ると、蠅のように見えましたが、お話をしなが
らそっぽを向くわけにもいきませんので、後ははねの唸る音を聞く
だけでした。
そうするうちに、いつの間にか、音の主はどこかに姿を消しまし
たので、再びお話しに、気持ちを集中させることが出来ました。
後になって考えてみますと、高知では一昨日、日中の最高気温が
30度を超えましたので、蠅が出てもおかしくはありませんが、そ
れにしても、5月の初めに、蠅は早すぎないかと気になりました。
ところが、季節の暦を見ると今日は立夏、しかも、季語の本によ
れば蠅は夏の季語ですので、はてさて、我が目と耳に自信を持つべ
きかどうか、いささかの迷いが残っています。
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