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2008年11月

2008/11/30

今夜も素敵な高校生と(11月23日)

 23日夜、大分県で開かれた今年の国体で、好成績をあげた2人の高校生の、お祝いの会に出席しましたが、先日の、幡多農業高校の生徒たちと同様、しっかりとした高校生が育っていることに、心強さを感じました。

 2人はいずれも、県立高校の3年生で、1人は男子の砲丸投げで優勝、もう1人の女性は、5000メートルで準優勝と、それぞれ素晴らしい成績でした。

 感心をしたのは2人の挨拶で、砲丸投げの彼は、インターハイで敗れた時の悔し涙と、国体で優勝を決めた最終投を前に、コーチの先生から、「ファールを気にせずに思い切って行け」と言ってもらって、吹っ切れたとの思いを語っていました。

 一方、彼女は、大会への出発直前に、ピンチヒッターに選ばれて、競技の前夜まで、胸がドキドキして眠れなかったことや、走っているうちに、優勝出来るかもしれないと思ったことなどを、これも素直に話してくれました。

 いずれも、自らの体験を中心にした内容で、とても高校生の挨拶とは思えない出来でした。

 その後の懇親会で、2人の話を聞くと、彼は、優勝を決めた最後の一投の際には、それまでと、手のひらや手首に受けた手ごたえが、まったく違っていたことを、また彼女は、インターハイで、初めて全国レベルの選手たちと走った時に、彼女たちとは、走り方に違いがあると感じ取れたことを、これまた活き活きと話してくれました。

 この間の、幡多農業高校の馬術部の選手たちもそうですが、何かに打ち込んできた高校生たちが、しっかりと育っていることに、とても心強さを感じました。

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ウィルスはグローバル(11月22日)

 22日夜のテレビで見た、アメリカの、感染症対策の専門家の話の中に、医療保険制度が果たす役割について、考えさせられることがありました。

 それは、鳥インフルエンザのウィルスが、人にも感染する、新型に変形した時に起きる爆発的な感染、いわゆるパンデミックに関わる話で、その専門家は、十分な医療保険制度がないため、アメリカでは、従来型のインフルエンザの流行に対しても、弱い面があると指摘をします。

 その上で、だからパンデミックが起きたら、アメリカでは、対策に手が回らずに、大変なことになると言うのです。

 医療保険と言えば、加入者個人個人の健康を守るための、社会制度という役割に目がいきがちですが、何らかの症状が出た時に、誰もが安心して医療機関にかかれることから、公衆衛生の面でも大きな役割があることを、この話を聞いていて再認識しました。

 あわせて、この専門家は、ウィルスはグローバルな存在なので、国境を越えるのに、パスポートもビザもいらないという話をしていました。

 確かに、おっしゃる通りですので、ウィルスの侵入を、水際で防ぐ対策はもとよりですが、国内の安全の基盤として、医療保険制度が持つ意味も、ますます重要性を増しているのだと感じました。

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会談を受けた理由は(11月20日)

 20日午前、東京でお目にかかった、ベテランの政治家からうかがった話の中に、やはりそうなのかなと感じることがありました。

 それは、先日総理官邸で行われた、麻生首相と民主党の小沢代表との党首会談に関することで、党首会談を受ければ、「政局より政策」と言いながら、2次補正の予算を先送りするのはおかしいと、誰もが感じる疑問をぶつけられて、守勢に立つことは目に見えていました。

 それなのに、何故会談を受けたのかと、自分も不思議に思っていたのです。

 この方も同じご意見で、まずは、小沢さんが避けている、党首討論を再度申し入れた上で、国民の前での議論を逃げておいて、党首会談はおかしいでしょうと主張すれば、わが方に分があったと言われます。

 確かに、これだけ長い国会の期間中に、党首討論を一度もしないのもおかしな話ですし、党首会談を開くにしても、国民の前での討論で絞られた課題を基に、会談で詰めていくのが筋道でしょう。

 にもかかわらず、先に党首会談を受けてしまったために、総理自らが、民主党の主張に理を作った形ですが、「会談の受諾は、総理が一人で決められたんでしょうか」という質問に対する答えは、「どうも、そのようですね」でした。

 お話をうかがっていますと、内閣と与党との関係もバラバラに感じられて、やはり、周辺の陣立てが、総理を守る態勢にはないのではないかとの疑念が高まりました。


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サマーワ宿営地(11月19日)

 19日夜、東京で、知人から紹介された書道家は、自衛隊がイラクのサマーワに派遣された際に、宿営地の看板を書いた方でした。

 この方は、福沢諭吉の故郷、大分県の中津出身の女性で、5代続く書道家です。

 知人の引き合わせで、この夜が初対面でしたが、サンスクリットの文字を勉強するために、3年間ネパールで過ごした話や、イスラエルの港町ハイファから、ゴラン高原にまで足をのばした話などを、興味深くうかがいました。

 そのお話の中で、自衛隊がイラクのサマーワに駐留した時、この方が、宿営地の看板の字を書かれたことを知りました。 

 聞けば、「サマーワ宿営地」の「宿」の字は、当地に派遣された隊員に、テントの中でゆっくりとくつろいでもらいたいとの思いを込めて、「ウ冠」の書き方に、工夫をこらしたと言います。

 そこで、後ほどインターネットを使って、その時の看板の字を見てみますと、「ウ冠」の両端が、中にある「イ」と「百」を包み込むように、下まで伸びていました。

 ふと、その看板かけの写真についている、キャプションに目をやると、看板を持っているお二人は、いずれも、知事時代にお会いしたことのある方で、かつての出会いと新しい出会いとが、こんなところで重なりあいました。


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元気な高校(11月15日)

 15日午後、高知市内のホテルで開かれた、あるお祝いの会に出席しましたが、ペーパーテストの学力だけが学校の力ではないと、あらめて感じました。

 この会は、県内で、文化やスポーツなどの分野で活躍をした人や団体に贈られる、龍馬賞という賞の授賞式で、毎年、龍馬の誕生日で命日でもあるこの日に、授賞式が行われています。

 今年この賞に選ばれたのは、県立幡多農業高校の馬術部でしたが、部が創設されてから、まだ5年目にもかかわらず、今年7月に青森で開かれた高校馬術の全国大会で、優勝という快挙を成し遂げました。

 祝辞の中でも触れたのですが、幡多農業高校は以前から、様々なことに積極的に挑戦する高校でした。

 環境の面では、畜産の排水を浄化するために、四万十川方式という、自然循環型の排水処理のシステムを導入したり、風力と太陽光を使った発電で、果物につく鳥や虫をよける装置を作ったりと、工夫をこらしています。

 また、地域とのつながりでは、ホルスタインを連れて地域の保育園などを訪ねる、出前授業をしていますし、広い校内では、7つもの乗り場のある巡回車が、来訪者を迎えてくれます。

 こうした前向きな取り組みの一つとして、2003年に、県内の高校では唯一の馬術部が創設されたのですが、一時は、部員が女子生徒一人きりになって、廃部の危機にさらされたこともありました。

 しかし、その彼女が、絶対に部はつぶさないと踏ん張った結果、後輩たちが、見事全国優勝を果たしたのですが、この日の授賞式に参加した優勝メンバーの一人は、彼女の弟でした。

 こんな学校をあげての取り組みや、生徒たちの頑張りを見ていると、頭に詰め込んだ知識を、紙の上に書き出す能力だけを、学力として評価する愚かさを、あらためて感じます。

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2008/11/16

からかわれ方(11月13日)

 13日のテレビで、麻生総理が、漢字の読み方をしばしば間違えることを採り上げた、ニュースを見ていて、同じトップでも、からかわれ方には随分な違いがあるなと、思い出したことがありました。

 この話は、以前メールマガジンを書いていた時に、一度ネタに使ったことがあるのですが、森さんが総理だった時に、森さんの英語をめぐって、嘘かまことかわからない話が流布されたことがありました。

 それは、訪米をして、当時のクリントン大統領夫妻に晩さん会に招かれた時のこと、出迎えた大統領に対して森さんは、握手の手を差し出しながら開口一番、「フー・アー・ユー」(貴方はどなた)と声をかけました。

 これは、「ハウ・アー・ユー」(ご機嫌いかが)と言おうとして間違えたということなのですが、先制攻撃を受けたクリントン大統領は、これは、よほどひねった、程度の高いジョークだろうと考えて、負けてはならじと、ジョークで返す答えを考えました。

 その際、大統領の口をついて出たのが、「アイ・アム・ヒラリーズ・ハズバンド」という返事でしたが、自分よりも、奥さんのヒラリーさんの方が目立っていたことを逆手にとって、「ヒラリーの旦那です」と冗談で返したというわけです。

 この話には、さらに続きがあって、食後にウェイターが、「コーヒー・オア・ティー」と飲み物を尋ねたのに対して、クリントンは「コーヒー」と、ヒラリー夫人は「ミー・トゥー」(私も)と答えました。

 続いて、三番目に、貴方はと聞かれた森さんは、ヒラリー夫人の「ミー・トゥー」を受けて、「ミー・スリー」と答えたというのが、この話の落ちです。

 森さんなら、そんなこともありそうだ、でもあってもいいじゃないかと思わせる、あまりとげとげしさを感じさせない、笑い話でした。

 これに対して、麻生さんの漢字の読み違いは、国のリーダーをめぐる話題としては、聞いていて、思わずほくそ笑むといった余裕が持てません。

 記者に問われたご本人の答えは、読み間違えか勘違いというものでしたが、文脈から見て、その言い訳は通らない例ばかりでしたし、答えてすぐ、記者団に背を向けて立ち去るあたり、総理自らにも、余裕は感じられませんでした。

 こんなことを書いていて思い出したのですが、今から40年余り前、兄が代議士になって間もない頃のこと、家に帰ってきた兄から、あの人はすごいぞと、ある先輩代議士の、エピソードを聞かされたことがあります。

 それは、その人の漢字の読み方がめちゃめちゃだという話で、兄は、「『切々と且つ綿々と』というところを、『きりきりとかつわたわたと』と読むんだよ」と、その先輩の口ぶりをまねしながら、楽しそうに語ってくれました。

 古き良き時代の話ですし、各界各層の代表の一人としては、何の問題もありませんが、国のリーダーの場合に、本当にこれでいいのでしょうか。

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よろしいんじゃないですか(11月12日)

 12日の与党間の合意で、今話題の定額給付金を配分する際に、所得制限をつけるかどうかは、市町村の判断にまかされることになりましたが、これを、「地方分権だからよろしいんじゃないですか」と言ってのける、総理の無神経さにあきれてしまいました。

 そもそも、個人消費を刺激するための景気対策なのか、それとも、低所得の方々を支援する福祉対策なのか、総理自身が、目的も不明確のまま、進めているふしがうかがえますので、内容の詰めのいい加減さと、それに伴う混乱は当然のことですが、所得制限をつけるかどうかの判断までを、地方に丸投げするとは、思ってもみませんでした。

 その無策ぶりを問われた時、麻生さんの口をついて出たのが、「地方分権だからよろしいんじゃないですか」という答えでした。

 顔つきを見ると、本気で言っているように受けとめられますので、さらに恐れ入ってしまうのですが、総額2兆円の財源を地方に移して、その使い方を、地方の裁量にまかせて初めて、地方分権という言葉が使えます。

 国民に問いかけることもなく、国が自分たちの都合で、2兆円もの大金の使い方を決めた上、その他の事務上の責任を放棄して、その配り方だけを地方に丸投げすることを、地方分権とは言いません。

 こんなことを言わせておいて黙っている、全国知事会など、地方団体の弱腰ぶりも気になりました。

 それはともかく、この日ある訪問先で、同じ給付金に関して、なるほどと感じる話を聞きました。

 それは、国は毎年2200億円ずつ、医療費を削減しているけれど、2兆円のお金が使えるのなら、10年近くは、医療費を現状の水準に保つことが可能なのではないか、なぜそうした選択肢を、国民に問いかけないのかというものでした。

 そこまで、基本にさかのぼった議論をする余裕がないほど、混乱を極めているとも言えますが、本当の意味での分権をして、使い方を地方にまかせるのであれば、医療・福祉や保育・教育など、まさに、地域の事情を反映した政策に、生きたお金が使えたことでしょう。

 この国は、いつまで、中央集権という愚かな体制を続けるのでしょうか。

 また、その体制の中で、選挙以外には、地方のことがまったくわからない国会議員と、その頂点にある総理大臣を、再生産し続けるのでしょうか。

 今回の給付金騒ぎは、余りにもひどすぎますし、このままでは、給付金を餌にした、振り込め詐欺を助長するのではと、あらぬ心配もしてしまいます。


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2008/11/08

「この国はガン」(11月8日)

 8日昼、土曜の休みを使って、メーリングリストに書き込みをしているうちに、昨日亡くなった筑紫哲也さんが最後に収録をした、ネット上の「多事争論」の中にある、「この国はガンにかかっている」という言葉が、頭の中で重なり合いました。

 私の入っているあるメーリングリストに、先日、高知県の海岸線の砂浜が無くなっていったのは、ダムが出来て砂利が流れてこなくなったこともあるが、それよりも、防波堤と作ったことが影響しているのではないか、との意見が寄せられました。

 私には、防波堤の建設が、どれだけ影響したかはわかりませんが、砂浜が無くなる話に関連して、知事時代に経験したことを書き込もうと思いました。

 それはもう何年も前のことですが、県の東部の海岸線で、下から海水に浸食された堤防が、地盤がえぐられて倒れるという出来事がありました。

 早速、現地の視察に出かけて、海岸線の近くに住む住民の話を聞きますと、堤防の外側に作られた、波消しのブロックでは十分でないので、さらに沖合に、離岸堤と呼ばれる、海の中の波よけ堤防を作ってほしいという、陳情が出てきました。

 そこで、この地域で行われた過去の事業と、災害との関わりを調べてみました。

 そうしますと、この地区の海岸線には、かつては砂浜があって、それが、波を消し災害の被害を弱める役割を果たしていました。

 ところが、その地区の東側にある、漁港の整備が進んだ後は、東の方から砂が流れてこなくなって、砂浜はどんどん細っていきました。

 このため、海岸線に防波堤を作ったのですが、風の強い時には波が越えてくるため、防波堤近くの海の中に、波消し用のブロックを積み重ねました。

 しかし、砂浜がまったくなくなった結果、段々と堤防の下から海水がしみ込んで、ついに堤防が倒れたというわけです。

 詳しい数字は忘れましたが、漁港の整備には100億単位、堤防を作りテトラブロックを置くのにも、何億というお金がかかっています。

 堤防を作り直して、さらにその上、沖合に離岸堤を敷設するとなりますと、また、相当な事業費がかさむことになります。

 それでは、これらの事業によって守られる世帯数はというと、あまり多い数ではありませんので、新たに海岸線をコンクリート漬けにしていくよりも、1世帯ごとに補償金を差し上げて、住宅を移転新築していただく方が、はるかに、全ての人にとって、ハッピーではないかと考えたくらいでした。

 このように、日本の海岸線は、水産庁、旧建設省、旧運輸省、それに農林水産省が、それぞれの権限と権益を持っていますので、次々とコンクリート事業を展開しては、次なる事業の必要性を作りだしている側面があります。

 これと同じようなことは、旧建設省が作ったダムの湖底にヘドロがたまって、水位が高くなった結果(といっても、役所は因果関係を否定しますが)、山にしみ込む水圧が高くなって、地すべりの危険が高まったと、今度は農林水産省が、数100億単位の莫大な予算で、地すべり事業に取りかかるなど、いくつも例が挙げられます。

 といったことが、メーリングリストに書き込んだ内容なのですが、筑紫さんの訃報を受けて、ウェブサイトの「多事争論」を開きますと、8月1日に収録をした最後の「多事争論」を、動画で見ることができました。

 NEWS23時代の90秒の「多事争論」は、テレビとしては破格の長さだったが、筑紫さんにとっては短すぎて、いつも言葉足らずで着地失敗に終わった、といった切り出しで話は始まります。

 内容は、この国は、ご自身と同じくガンにかかっているというもので、ガンにかかると、本来使うべき栄養やエネルギーが、ガンと戦うことに使われてしまって、人間が生きていくために必要なところに、使われなくなると指摘されます。

 それと同じく日本も、ガンと戦うことに栄養とエネルギーが使われてしまう結果、教育という未来にも、高齢者医療という過去にも投資をしないまま、政治が本来果たすべき世代間の配分に、明確な判断を下せない国になっているというのが、筑紫さんの、動画上では最後のメッセージでした。

 ここで筑紫さんが、この国のガンの一つとして挙げていたのは、向こう10年間に、さらに59兆円を、道路整備に使うと言っているといった点でしたが、自分が知事時代に経験をした、公共事業の負の連鎖を思い起こしますと、どうにかしないとという思いが強くなります。

 ただ、筑紫さんは、このビデオの最後に、「この病気と闘っていると敵はしぶとい。この国の問題も、ある意味単純だが、やれることが単純かというとそうではない」と、私たちに釘をさすことを忘れていませんでした。

 筑紫さんのご冥福を、心からお祈りいたします。

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暖かさゆえの大連立(11月7日)

 7日は立冬でしたが、高知は、とても立冬とは思えない陽気で、車窓からも、暖かさを象徴するような光景を目にしました。 

 この日は、生姜の関係者のお話を聞くため、県中央部にある香美市の山田町に出かけたのですが、道すがら、車の窓から外を眺めると、休んでいる農地に植えられたコスモスが、あちこちに咲き誇っています。
 
 それに見とれているうちに、今度は何と、コスモスと並んで、ヒマワリの花が咲いているではありませんか。

 後で調べてみると、立冬のこの日、沖縄では30度を超える真夏日でしたし、暖かい日が続く高知県の中央部でも、最高気温が26度3分でした。

 コスモスとヒマワリの共演も、この季節はずれの暖かさがもたらしたものでしょうが、これは、自民党と民主党との大連立よりも、ずっと見た目の美しい大連立だななどと思いながら、眺めていました。

 自民・公明と民主の大連立にも、季節はずれの異常さが必要なのでしょうか。

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民主主義を守る人(11月3日)

 3日、政府見解に反する論文を公表して、自衛隊の航空幕僚長を更迭されたご仁が、早目に定年退官することになったとのニュースを見て、改めてこの方は、民主主義を守ることに、どれだけの意識を持っていたのだろうかと思いました。

 今回の件の弁明として前幕僚長が語った、権力者に対して自由な意見が言えないのなら、北朝鮮と同じだという発言は、憲法で定められた思想信条の自由と、民主主義国において国のスタッフは、国民に選ばれた政府の取り決めを守らなければいけないという民主主義のルールとを、完全に履き違えた強弁です。

 といったことを考えるうちに、先月ケーブルテレビで見た、映画のシーンを思い起こしました。

 それは、「クリムゾン・タイド」というタイトルの映画で、ロシアでクーデターを起こした将軍が、核攻撃も辞せずとの態度をとるのに対してアメリカが、万一の時には核を使った先制攻撃をするために、カムチャッカの沖合に、潜水艦を向かわせるところから始まります。

 ジーン・ハックマン扮する、叩き上げの艦長が主人公で、新しく副官に命じられた若い黒人のエリート軍人との確執が、ストーリーの縦糸になっています。

 映画の前半、艦内で幹部が語りあっているうちに、核兵器は戦略兵器か戦術兵器かをめぐって、2人が論争を繰り広げるシーンがあるのですが、その中で、昔堅気の艦長が語った言葉に、印象に残ることがありました。

 それは、「我々は、民主主義を守るが、実行はしない」という言葉です。

 その意味は、民主主義を守るためには、軍という組織が、民主主義的な議論に、時間を費やしている暇のない場合があるので、その時には、すぐに行動を起こすためにも、組織内での民主主義は実行できないということです。

 軍という組織の性格上、いざという時には、組織内での民主主義を実行せずに、行動に移る場合があることは、自分にもよく理解できます。

 ただ、それが許される大前提は、わが国の民主主義を守るためですので、その大前提を否定する人が、自衛隊という国防軍の、幹部に座っていて良いわけがありません。

 この問題は、民主主義を否定する人が、軍の中枢にいたという、国の根幹に関わる大事件ですので、退職金を受け取ることの是非といった、どうでもいい問題にすり替えることで、任命した者や、防衛省の中にそうした環境を作った者の責任を、うやむやにさせてはなりません。

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ロープの振幅(10月31日)

 31日朝、麻生首相が、追加経済対策の発表とあわせて、年内の解散を事実上見送ることを表明したとの記事を見て、高校時代の英語の教科書に出ていた、崖下の洞窟に取り残された男の話を思い出しました。

 この男は、崖の上からロープを垂らして、オーバーハングしている崖の途中にある洞窟に、キノコか何かを採りに降りるのですが、ロープを前後に揺すって、首尾よく洞窟の中に降り立ったものの、誤ってロープを手放してしまいます。

 ロープは反動で大きく揺れますから、次に戻ってきた時に飛びつけば、もう一度やり直すチャンスが出来ますが、確実にロープをつかめるとは限りません。

 かといって、そのまま洞窟の中にいれば、しばらくは安全ですが、自分がそこにいることに、誰かが気づいてくれるかどうかはわかりません。

 むしろ、誰も気づいてくれずに、そのまま野垂れ死にをする可能性も高いのです。

 ロープが戻ってくるまでの短い間に、あれこれと思い悩んだ挙句、男は最後のチャンスにかけて、洞窟の手前まで帰ってきたロープに飛び移りました。

 麻生さんの場合はどうかと言えば、総裁選挙というロープをつかんで、見事洞窟内にあった総理の座を手に入れましたが、まずは、国会冒頭での解散というロープを、するっと手放してしまいました。

 そのロープは、11月末から年末までの総選挙という形で、もう一度洞窟の前に戻ってきましたが、今回の解散見送りの決断で、戻ったロープに飛びつくチャンスも失いました。

 ロープの振幅は、段々と狭まってきますから、次の機会には、余程のジャンプをしないと、首尾よくロープに飛びつくことは出来なくなります。

 ましてや、任期一杯までとなると、ロープの揺れはほとんど止まっていますから、そのうち誰かが、崖の上からロープを巻き上げて、どこかにロープを持ち去ってしまうのではないかなどと、勝手な想像を巡らしてしまいました。

 はて、その結末は。

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2008/11/01

人の噂も(10月30日)

 30日午後、高知市内のお宅で、10人ほどの方と懇談会を持ちましたが、政府の新総合経済対策の目玉とされる、総額2兆円規模の給付金のことが、結構な話題になりました。

 ちょうど、この日は、麻生首相が経済対策を発表することになっていましたので、1世帯当たり、平均で3万8千円と言われる給付金が手渡されたらどう使うかを、集まった方々に尋ねてみました。

 すると、孫に何か買ったらそれで終わりだとか、夫婦で温泉に行けば継ぎ足しが必要になるなど、思った以上に話がはずみましたが、その中で、小渕内閣の当時に、地域振興券を受け取ったという方が、その時の使い道を披露して下さいました。

 それによると、その方は地域振興券で、片付けや掃除に使うための脚立を買ったと言うのです。

 その心は、日常はわざわざ買おうとは思わないけれど、臨時収入が入るなら、あると便利だからということでした。

 といったわけで、給付金の話で結構盛り上がったのですが、そのうち、ある方が、選挙はそんなに遠くはないのではと言われます。

 なぜかと言えば、3万8千円をもらった時には喜んでも、しばらくすれば忘れてしまうから、どうせお金を配るなら、みんながその喜びを忘れないうちに解散をしないと、意味がないというのです。

 なるほど、この予想が正しければ、解散は来年早々だろうかなどと考えながら、人の噂も75日という諺を思い起こしていました。 


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東京ドームで新記録(10月27日)

 27日午後、高知市内でお訪ねした会社の方から、東京ドームで、ある新記録が出たという話を聞きました。

 といっても、野球などスポーツがらみの記録ではなく、歌手のコンサートに関するものなのですが、一人で東京ドームを満席にした歌手としては、最高齢の記録が出たというのです。

 その人は、元オフコースの小田和正さんで、今年で61歳になりますが、思い切って東京ドームでのコンサートを企画しました。

 そうしたところ、水曜日と木曜日というウィークデイにもかかわらず、ご自身のファンクラブなどからの事前の申し込みだけで、2日間のコンサートが、ほぼ満席になったそうです。

 このため、来月、一般向けにチケットが発売される時には、すぐに、「売り切れました」とのテープが、流れることになりそうだとの話でした。

 聞けば、これまで一人でのコンサートで、東京ドームを満杯にした歌手の年齢は、50代が最高齢だったとのことですので、小田さんの新記録樹立は間違いないようです。

 小田さんは、私と同い年ですので、ただただすごいなあと感心すると同時に、自分も負けてはいられないと奮起しながら話を聞きました。

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社長さんの一本勝ち(10月21日)

 21日午後、あるレストランチェーンが、自社の販売したピザに含まれていた中国製の食品から、微量のメラミンが検出されたことを受けて、ピザを買った人に払い戻しをするとのニュースを見て、自分なら、このニュースをどう扱うだろうかと考えてみました。

 というのも、最近のニュース番組を見ていると、自社の番組の宣伝はともかくとしても、やれ円高還元セールだ何だかんだと、量販店などのPRにそのまま乗っかった話題が目につくからです。

 確かに、ここまで情報番組が増えてくると、こうした企業広報に乗らないと、番組が埋まらないのでしょうが、昔なら、もう少し斜めに切るとか、味付けをするといった工夫を加えたのにと、思わざるを得ない内容も多々あります。

 そこに、この日は、メラミンが検出された日のピザを、払い戻すという話が出てきたものですから、これを、転んでもただ起きない店側の、宣伝と受けとめるか、それとも、広く伝えるべきニュースととらえるかと、自問してみました。

 背景の取材をしていませんので、社長さんの会見だけでは、何とも判断しかねますが、健康には全く問題ないことが強調されていましたので、それなら、店ごとの店頭に、その旨を貼りだせば事足りるのではとも感じました。

 といったことで、自分がデスクだったら、「こんなものニュースじゃない」などと言いそうなのですが、大学時代に働いていたレストランで、経営者から才能を認められて、4年生の時に店を譲られたという社長さんだけに、この記者会見は、見事一本勝ちの会見ではありました。

 これからも、企業PRとの境目の見極めにくいネタが、あれこれと出てくるでしょうが、そのままを流さない、ひと捻りしたニュースを見てみたいものです。

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補助金そのものの問題(10月19日)

 19日朝、12の道府県が、年度内に使い切れなかった補助金の事務費を、不正に処理していたという記事を見て、補助金の持つ問題点を、あらためて考えてみました。

 これは、会計検査院が、2006年度までの5年間を対象に、国土交通省と農林水産省の補助金を調べた結果ですが、任意に選んだ12の道府県すべてで、あわせて5億円にのぼる不正な処理が見つかったという内容です。

 この記事を見て、まず思い出したのは、県庁の中でも、部局によって、事務費のゆとりに極端な差があったことでした。

 これは、かなり以前に気づいたことですが、たとえば、国土交通省の公共事業を担当する土木部は、潤沢な事務費を持っていて、知事への説明資料も、カラーの写真やグラフの入ったものが出て来るのに対して、健康や福祉を担当する部の資料は、モノクロで質素なものでした。

 理由を尋ねると、公共事業を実施する際には、事業費に見合った事務費がついてくるため、土木部などには、豊富な事務費があるとのことでした。

 こうした、国の公共事業費の組み方にも、問題の一端があったかと思います。

 また、今回の調査で明らかになった不正な処理の背景として、年度内に使い切れなかった事務費を返却すると、翌年から予算が削られるため、それを嫌って残った分を隠すのだといった、事情が説明されていましたが、その事情は、道府県の中だけでなく、補助金を交付している国の官庁の側にも、指摘できることなのです。

 それが証拠に、使い切れずに余った事務費を、国に返そうとしても手続きが大変で、容易には返却できないという現実があります。

 つまり、国の官庁としても、一度地方に交付した補助金を返されたら、今度は財務省に、来年度の予算を削られる心配がありますから、余っても返してほしくないのが本音でしょう。

 ですから、もちろん地方の側も、コンプライアンス(法の順守)にもっと真摯でなくてはなりませんが、かといって、今回の調査結果をもとに、「これだから地方に権限は任せられない」という論調を導くのは、筋違いだと思います。

 ことの本質は、この時代に相も変わらず、中央の省庁が補助金を配分することで、国が地方を支配するという、中央集権の体制を維持していることそのものの問題にあります。

 この体制と、中央の官庁からの補助金の交付という仕組み自体が、全国一律で柔軟性のない政策や、その結果として出てくる、各種の無駄を生み出していることに、気がつかなくてはなりません。

 こうした無駄をなくして、税の使い方に、もっと住民の目が届くようにするためにも、財源と権限を地方に移した、地域自立型の国の形が、今求められていると思います。

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輪の中に(10月13日)

 13日夜、先日の高知青年会議所の企画に続いて、衆議院高知1区に出馬する予定の4人の候補者が、それぞれの考えを語る会が開かれました。

 この日の会を主催したのは、学生から社会人まで、20代の若者が集うグループで、とかく政治への関心が薄いと言われる若者に、政治と触れあう場を持ってもらおうというのが狙いです。

 会場に入ると、立候補予定者が、机を前に一列に並んで座る、パネルディスカッションの形ではなく、部屋をぐるりと囲んだ参加者の輪の中に、4人の立候補予定者がわかれて座るという、新しい試みのレイアウトでした。

 また、途中の休憩時間には、参加者との自由な意見交換の時間もあって、質問を受ける当事者としては、緊張の中にも楽しいひと時でした。

 しかも、参加者も予想を超える数で、これだけの人を集める力に感心しましたが、もらった資料を見ますと、中心になったメンバーの肩書も色とりどりでしたので、それが、ネットワークが広がった理由かと納得しました。

 それだけに、このネットワークがさらに多様に繋がって、様々な地域活動に活かされるといいなと思いました。

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