民主主義を守る人(11月3日)
3日、政府見解に反する論文を公表して、自衛隊の航空幕僚長を更迭されたご仁が、早目に定年退官することになったとのニュースを見て、改めてこの方は、民主主義を守ることに、どれだけの意識を持っていたのだろうかと思いました。
今回の件の弁明として前幕僚長が語った、権力者に対して自由な意見が言えないのなら、北朝鮮と同じだという発言は、憲法で定められた思想信条の自由と、民主主義国において国のスタッフは、国民に選ばれた政府の取り決めを守らなければいけないという民主主義のルールとを、完全に履き違えた強弁です。
といったことを考えるうちに、先月ケーブルテレビで見た、映画のシーンを思い起こしました。
それは、「クリムゾン・タイド」というタイトルの映画で、ロシアでクーデターを起こした将軍が、核攻撃も辞せずとの態度をとるのに対してアメリカが、万一の時には核を使った先制攻撃をするために、カムチャッカの沖合に、潜水艦を向かわせるところから始まります。
ジーン・ハックマン扮する、叩き上げの艦長が主人公で、新しく副官に命じられた若い黒人のエリート軍人との確執が、ストーリーの縦糸になっています。
映画の前半、艦内で幹部が語りあっているうちに、核兵器は戦略兵器か戦術兵器かをめぐって、2人が論争を繰り広げるシーンがあるのですが、その中で、昔堅気の艦長が語った言葉に、印象に残ることがありました。
それは、「我々は、民主主義を守るが、実行はしない」という言葉です。
その意味は、民主主義を守るためには、軍という組織が、民主主義的な議論に、時間を費やしている暇のない場合があるので、その時には、すぐに行動を起こすためにも、組織内での民主主義は実行できないということです。
軍という組織の性格上、いざという時には、組織内での民主主義を実行せずに、行動に移る場合があることは、自分にもよく理解できます。
ただ、それが許される大前提は、わが国の民主主義を守るためですので、その大前提を否定する人が、自衛隊という国防軍の、幹部に座っていて良いわけがありません。
この問題は、民主主義を否定する人が、軍の中枢にいたという、国の根幹に関わる大事件ですので、退職金を受け取ることの是非といった、どうでもいい問題にすり替えることで、任命した者や、防衛省の中にそうした環境を作った者の責任を、うやむやにさせてはなりません。
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