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2009/03/06

小沢さんのこと(3月5日)

 5日朝、民主党の小沢代表の、公設の第一秘書が逮捕されたとの報道を見ていて、小沢さんをめぐるあれこれを、思い起こしました。

 小沢さんと、初めてゆっくりと話をしたのは、今から18年前、平成3年の初夏のことでした。

 当時小沢さんは、自民党の幹事長として、飛ぶ鳥を落とす勢いでしたが、その席に同席をされたのは、現在の民主党の幹事長、鳩山由紀夫さんと、今は総務大臣を務める、弟の邦夫さんの兄弟でした。

 用件は、その翌年に予定されていた参議院選挙で、自民党の候補として、東京選挙区から出ないかというお誘いです。

 ところが、すでにその時には、高知県の知事選挙に出馬することを、心に決めていましたので、そのお誘いはお断りしました。

 今回の小沢さんの政治資金をめぐる問題で、邦夫さんが小沢さんを攻め、最大野党の幹事長になった由紀夫さんが、党首を信じると語る姿を見ていると、18年の歳月の経過があれば、どんな変化も許されるのかと、不思議な思いに駆られます。

 現在私は、次の衆議院選挙に挑戦する準備を進めていますが、現在の自民党とも民主党とも違う立場で、新しい政治と国の形を、示していきたいと考えていますので、無所属での出馬を予定しています。

 このため、民主党の幹部からは、再三にわたって、民主党から立候補しないかと誘われました。

 最後のお誘いは、去年の夏、鳩山幹事長からでしたが、その席で鳩山さんが、「橋本さんが、小沢と自治労が嫌いなことはよくわかっているが、それには少し目をつぶって、一緒に戦ってくれないか」と言われますので、別に小沢さんが嫌いなわけではない、と申し上げました。

 その言葉の通り、小沢さんが嫌いでも何でもありませんが、小沢さんを取り巻く環境や、小沢さん自身の時代感覚が、18年前のあの日と、さほど変わっていないと思えることに、私は、いわく言い難い不安を感じるのです。

 今回のような事件が起きてから、あらためてこんな表現を使うのは、後づけの説明のようで、潔くないことかもしれませんが、小沢さんが5日の記者会見で、強く潔白を主張されたのを見て、あえて、ひと言ふれてみたいと思いました。

 今回の事件の流れを見ていて、小沢さんには、自らの周辺にいる人物と建設業界との関係や、業界の方々の政治家を見る目、また、その世界のこれまでの常識に対する、世間の厳しい目と、それを受けての、検察の判断の変化を、敏感に感じとる感覚がおありだろうかと、失礼ながら不安を感じるのです。

 ただ、この不安がもたらす動揺は、小沢代表の政治生命だけでなく、自民党の現状に呆れはてて、何らかの変化に期待を寄せる多くの国民にも、多大の影響を与えかねないだけに、重大な意味を含んでいます。

 強気の記者会見とは裏腹に、逮捕された秘書は、実体的には企業からの献金だと、認識していたと考えるのが、普通の受けとめ方でしょう。

 とはいえ、それだけなら、額があまりにも多いという問題はあるにせよ、企業からの献金を、政治団体からの寄付に見せかけて、収支報告に記載したという、一種の形式犯に過ぎません。

 ですから、それだけなら、総選挙を目前に控えたこの時期に、検察がここまでは踏み込まないだろうと考えるのも、これまた普通の受けとめ方です。

 では、その背景に何があるのかですが、私は二つのことを感じています。

 その一つは、企業がダミーで作った政治団体を通じて、実体的には企業献金に当たる資金を、そうではないように見せかけて、政治家個人の政治団体に寄付をしたという、政治資金規正法の、脱法行為に関することです。

 推測をするに、こうした脱法行為は、西松建設だけでなく、さらには建設業界だけでなく、企業献金の隠れ蓑として、広く使われている手法なのではないでしょうか。

 今回の強制捜査には、このような脱法行為を、今後は断固見逃さないという、強いメッセージが込められているのではないかというのが、この事件を通じて、私が感じたことの一つです。

 もう一つは、献金の見返りに関することで、小沢代表は、便宜供与はなかったし、もしそんなことがあるのなら、甘んじて捜査を受けると、記者会見の中で述べています。

 確かに、小沢さんの認識の範囲では、口利きや便宜供与はなかったという主張は、その通りだろう思いますが、問題はそれ程単純ではありません。

 というのも、献金に対して見返りの便宜供与がある場合、便宜を与えた側に職務権限があれば、贈収賄になりますが、そもそも国会議員には、国土交通省の官僚や首長が持っているような、公共事業を発注するにあたっての、職務権限はありません。

 また、競争入札である以上は、首長であっても、業界で噂される談合にまで入り込まない限り、業者の選定に、権限を行使することなどできません。

 それなのに、企業の側は、なぜ多額の献金をするのでしょうか。

 これも推測の域を出ませんが、職務権限などなくても、ある種のカリスマを持つ人物に多額の献金を積むことが、談合の中での、発言権を増すことにつながるといった慣習が、業界の中にあるのではないかと感じます。

 司法当局はある時期から、それまでは、どちらかと言えば大目に見てきた、談合という風習に、公正取引委員会と連携して、厳しく対応するようになってきました。

 さらに、それを一歩進めて、職務権限なき贈収賄的な行為を、政治資金規正法の形式犯を立証する過程の中で、あぶりだしていこうという意思が、隠されているように私には思えます。

 誤解をされてはいけませんので、明確にお断りをしておきますが、小沢代表が、贈収賄的な行為をしたと言っているわけではありません。

 政治家本人はもちろん、事務所の関係者にさえ、その認識がなくても、業界独特の慣習の中で、勝手に談合の材料に使われる献金があるのではないかというのが、私の憶測です。

 また、そうした疑いのある資金との関わりを、政治家は、今後一切断っていくべきだというのが、この捜査の暗示ではないでしょうか。

 こうした、自分勝手な解釈でこの事件を見る限り、小沢代表の会見の内容も、それを是として、疑問の声も批判の声の出ない民主党の現状も、時代感覚とは、ずれがありはしないかと不安が募りました。

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