地球人生のパスポート(5月24日)
24日午後、先日53歳の若さでこの世を去った、知人の女性のお別れ会に出席しましたが、彼女が、以前からご主人には、自分の地球人生のパスポートは、有効期限が59年だと言っていたと聞いて、いわく言い難い不思議なものを感じました。
20歳の時、台湾から来日した彼女は、縁あって、同じく菜食主義者だったご主人と結ばれ、彼の故郷である高知に移り住みました。
私との初めての出会いは、18年前、高知県の知事選挙に出馬するため、高知に越してきて間もない頃のことで、高知市内のある神社の前で、ご夫妻から、声をかけられました。
台湾出身の奥さまはもちろん、ご主人も中国語が堪能でしたので、知事になってからも、国際交流の活動や、中国出張の際の通訳の仕事などを通じて、おつきあいが深まりました。
その彼女が、余命いくばくもないと知ったのは、ごく最近のことで、聞いた時には、まさかと驚きましたが、緩和ケアの病棟を訪ねた時、いつもと変わらぬ明るさで出迎えてくれたのには、これまた驚かされました。
その際、突然襲った運命をそのまま受け入れて、死をまったく恐れない態度に、何と強い人なのかと感じ入りましたが、それと同時に、じめじめした別れにはしないという、彼女の優しさと心遣いも感じました。
それだけでも、十分にすごい人ですが、この日の式で、お別れの言葉を聞く中で、その思いはさらに強くなりました。
「明日は何があるかわからないと言ってきた。だから、死を宣告されてもびっくりはしない」
「抗がん剤も飲まないし、痛み止めも飲まない。これまで元気で、病気の人の痛みを知らなかったから、その痛みがわかってよかった」
(医学生である女性に)「何か質問はないの。ガンの患者が目の前にいるのだから、絶好の機会でしょ」
いずれも、見舞客に語った彼女の言葉です。
最後に挨拶に立ったご主人は、ご自身が台北に留学をして、日本語の先生として、一定の成功をおさめた後、日本に帰国するにあたっての、エピソードを語り始めました。
台北で購入した車を手ばなしたところ、100万円で売れたため、彼は、それを元手に日本での暮らしを始めようと、奥さまに提案しました。
すると彼女は、台湾で得たお金は、台湾に寄付をして返しなさいと言います。
それでは、日本での暮らしが不安だという彼に対して、奥さまは、「神様が見てくれているから」と譲りませんでした。
やむを得ず、100万円を台湾に寄付して帰国したのですが、「神様は確かにいました。本当に困った時に、名前も明かさずに寄付をして下さる方が、何人もいたんです」と、彼はこの日初めて、声を詰まらせました。
さらに、ご主人は、初めて出会った頃から彼女が、「自分の地球人生のパスポートは、有効期限が59年だ」と言っていたことを、明かしてくれました。
それからすれば、彼女は、パスポートの有効期限を3年残して、地球人生を終えたことになりますが、その話を聞きながら、変な宗教的な意味ではなく、純粋に神様のような人ではなかったかと、不思議な思いに駆られました。
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