火葬場だけが(5月12日)
12日午後、県内の春野町で、地域の住民の方々と懇談をしましたが、市町村合併に関しては、耳の痛い話を聞きました。
春野町は、しばらく前までは、吾川郡春野町でしたが、平成の大合併の結果、東隣の高知市と合併して、高知市春野町に変わっています。
この日は、春野町の農村地帯で、農家の女性らを中心に、10人余りの方々と懇談をしましたが、農業に関することだけでなく、防犯や交通安全など色々な話題が出ました。
その中で、防犯灯の話題では、夜は周辺の道路が暗いので、防犯灯が必要だという声があった反面、明かりをつけると害虫が寄ってくるので、農家の中には嫌がる人も多いといった、農村地帯ならではの話も聞けました。
また、交通安全母の会の活動として、朝早く信号のない道路で旗を振っても、車はなかなか止まってくれないと嘆く女性は、警察が交通安全の指導をする時には、信号のある場所だけでなく、信号のないところでもやってもらいたいと、経験者でないと思いつかないような注文を語っていました。
一方、市町村合併に絡んで、国道まで抜ける道を作るという約束だったのに、あと何百メートルもないところで、工事がとまったままだという話が出ましたので、てっきり、今回の高知市との合併に際しての話かと思って聞いていました。
ところが、いつからとまったままなんですかと尋ねますと、「私が嫁にきた頃からだから、30年以上にはなる」という女性に続いて、隣にいたお婆さんが、「いや、もう50年以上になる」と言われますので、ようやく、今回の合併ではなく、半世紀前の昭和の大合併以来、工事がとまっているという、遠大な話であることがわかりました。
そこで、今回の合併で、何か良いことはありませんでしたかと投げかけますと、何も良いことはないし、まわりでも良かったという人は一人もいないと、手厳しい答えが返ってきます。
それでも、何か一つくらいは良いこともあったんじゃないですかと、重ねて質問しますと、元気いっぱいの明るいお婆ちゃんが、「ええことは、火葬場の料金が安くなったことくらいかねえ。でも、焼いてもらう本人には、その良さはわからんことだがね」とおっしゃいます。
知事という立場で、合併に立ち会ってきた者としては、そうか火葬場だけかと、思わず神妙になる一瞬でした。
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