働きかけから身を守るには(6月14日)
14日夜、厚生労働省の現役の局長が、逮捕された
とのニュースを見て、噂される政治家の介在など、様
々なことに思いをめぐらしました。
この事件は、障害者団体向けの、郵便料金の割引制
度を悪用したとされる事件で、活動の実態のない団体
に対して、障害者団体であるとの偽の証明書を発行し
たとして、厚生労働省の、当時の担当係長らが逮捕さ
れています。
この日、同じく、偽の公文書を作った疑いなどで逮
捕されたのは、当時、担当課の課長をしていた、現職
の局長でした。
逮捕とともに報じられた、この局長の、国会答弁な
どの様子を見ながら、いかにも有能で、そつのない人
だと思いましたが、それだけに、容疑が事実だとすれ
ば、どうしてこんな不正に手を染めたのかと、大きな
疑問を感じました。
そもそも、担当の課長であれば、相手が実態のない
団体であっても、そのことには目をつぶって、お墨付
きの証明書を出してしまう権限があるはずですから、
わざわざ偽の証明書を作るように、部下に指示を出す
必要がわかりません。
それでもなお不正に手を貸したとすれば、余程の事
情があったとしか思えません。
その事情の一つではないかと指摘されているのが、
国会議員からの、「何とかしてくれないか」との働き
かけです。
なぜ、そんなことに官僚が気を使うかと言えば、賛
否が別れている法案などの場合、政党内での政策の調
整や、国会での議論の際に、あまりやかましく追及し
てほしくないからです。
このため、国会議員からの働きかけを断って、何か
意地悪をされては面倒だと、少々のことには目をつぶ
って、言うことを聞いてしまうといった心理が働くわ
けです。
ただ、この程度のことで、証明書の偽造までするか
との疑問は残るのですが、今回の事件の背景が何であ
れ、こうした不透明さを払しょくするために、議員か
らの働きかけには、組織的に対応する必要があると考
えています。
この点、高知県では、自分が知事の時代に、議員を
はじめ全ての県民を対象に、県職員への働きかけを書
きとめて、公表する制度を作りました。
こうしたやり方に対して、「働きかけは悪いものば
かりでなく、良い働きかけも一杯あるはずだ。それな
のに、区別なく公表をすれば、一般の県民は、全ての
働きかけを、悪いものかのように受けとめてしまう」
といった反論が起きました。
おっしゃる通りで、働きかけの中には、もちろん良
い働きかけもあります。
しかし、働きかけを公表するのは、働きかけという
行為が悪いからではなく、公表することによって、良
からぬ働きかけを抑止するのが狙いです。
今回の事件の背景はまだわかりませんが、働きかけ
の公表によって、この日逮捕された局長のような事例
は、再発を避けられるのではと思いました。
ここからは、まったくの余談ですが、逮捕された局
長は、高知市の出身で、市内の私立の高校から高知大
学を卒業して、キャリア官僚となった人です。
人物的には立派なエリートですが、霞ヶ関の官僚の
学歴から言えば、地方の国立大学の出身は珍しい例で
すので、そんなことが、足を引っ張られる原因になっ
ていなければいいがと、余計なことに気がまわってし
まいました。
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