« 中国こぼれ話 | トップページ | 馬鹿にしてぇ~ »

2011/08/09

壁と共に崩れたもの

 7月下旬、中国から帰った翌日に、今度は、アメリ
カの科学者連盟の会長の話を聞きましたが、その内容
は、なかなか興味あるものでした。

 この方は、海軍士官学校出身で、若い頃は、原子力
潜水艦に乗り組んでいましたが、その後、物理学者に
転進したという変り種で、この日は、科学者連盟が取
り組んでいるプロジェクトの数々を、紹介してくれま
した。

 例えば、一年前に立ち上げたプロジェクトでは、テ
ロリストがテロを実行しようとする時に、テロに使う
武器を、何を基準に選ぶかを分析したと言います。

 いわば、テロリストの心理分析ですが、この他、パ
キスタンの新興タリバンが、核を入手することに、い
かに強い関心を持っているかを調査したリポートもあ
って、いずれも、無料でダウンロードが出来るそうで
す。

 また、違う分野では、向こう10年間に水が枯渇す
るといわれる、イエメンの灌漑と緑化を手助けするた
めの、プロジェクトの話もありました。

 などなど、それぞれに興味深い話だったのですが、
この会長が、なぜ海軍を離れたのか、そのわけにも、
なるほどと感じさせるものがありました。

 それは、ベルリンの壁が崩壊して2週間たった時の
ことですが、彼は、原潜の乗組員として、核兵器の、
攻撃目標を設定する訓練を受けていましたが、同僚の
間で、ベルリンの壁の崩壊が、話題になることはあり
ませんでした。

 ただ、彼は、自分の心の中に起きた、大きな変化を
感じていましたので、アメリカが核攻撃を受けた時、
それに報復することに意味があるだろうか、自分が、
その一翼を担えるだろうかと、自問自答しました。

 その結果、出来ないとの結論に達して、直ちに軍を
離れた後、物理学を学びなおしましたが、さらに、世
界の安全に寄与したいと考えて、この道に進んだのだ
言います。

 そうしたバックボーンを聞けば、なおさらのこと、
技術者と科学者には倫理的責任がある、科学技術は、
人類に利益をもたらすものでなければならない、とい
う理念に、説得力が感じられました。

|

« 中国こぼれ話 | トップページ | 馬鹿にしてぇ~ »