モンロー神社に参拝
信州での夏の終わりがけ、先輩の建築家の家を訪ね
ますと、部屋の一角に、マリリン・モンローをまつっ
た、私設の神社がありました。
前からお誘いを受けていたのですが、さすが建築家
の家だけあって、渋い色合いの木材と大きなガラス窓
が特徴の、シックなおうちです。
中に入って、ゆったりとした居間で、コーヒーをい
ただいていますと、ワイドなガラス窓の方で、ドンと
いう大きな音がしました。
何だろうと思って、窓の外をのぞくと、勢いよく飛
んできた小鳥が、ガラスがあるのに気づかずに窓にぶ
つかって、外のベランダに倒れていました。
お茶の後、部屋の中を案内していただくと、直径が
3~4センチほどの、中をくり抜いた木で作った、模
型の街があります。
一つ一つに、窓にあたる小さな穴があけてあって、
中から照らす電球で、ビルの明かりを演出しているの
ですが、その木の一つを持ち上げて中をのぞいて見ま
すと、実にきれいに削られています。
そこで、製作者である家の主に、どうやって削った
のかと尋ねてみますと、友人の歯科医が、歯を削る時
に使う研磨機で磨き上げてくれたとのことで、その研
磨機は、その後は、治療には使われていないのだろう
なと、ちょっと心配になりました。
続いて、奥の書斎を見せてもらうと、壁際の棚の上
に、風にスカートをまきあげられた、映画の有名なシ
ーンをかたどった、マリリン・モンローの像が置かれ
ています。
その上、その下の棚には、小さな賽銭箱が置いてあ
りますので、これは何かと聞くと、マリリン・モンロ
ーをまつった、モンロー神社だと言います。
「実は、ここにご神体があってね」と、先輩が持ち
出してきたのは、モンローの、胸のレントゲン写真の
コピーでした。
先輩の知人が、オークションで2万ドルで落札した
ものを、コピーさせてもらったとのことでしたが、よ
く見ると、両胸の脇が微妙にふくらんでいて、さすが
モンローともなると、レントゲンにも乳房の輪郭が写
るのだろうかと、ご神体の丸味を横目に見ながら、有
難く参拝を済ませました。
ただ、このご神体も、先輩の奥様には、あまり評判
がよろしくないようで、数分のご開帳を終えると、再
び、棚の中にしまい込まれてしまいました。
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