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2011/09/02

先輩方とご一緒に

 ひと夏を過ごした、信州の別荘地には、夏の間、地
域内限定の無料バスが走っています。

 このバスは、車を持ち合わせないわが夫婦にとって
は、野菜や日用品を買うには欠かせない足ですので、
何度も利用しましたが、ご一緒するのは大概、人生の
先輩にあたる方々です。

 ある日、近くの農家のご夫妻が、テントで売ってい
る野菜を買い込んで、バス停に立っていますと、おじ
いちゃんが早足でやってきて、「バスはまだ来てませ
んよね」と尋ねらます。

 「ええ、まだですよ」までで、止めればよかったの
ですが、続けて、「ダイヤの時刻前に来ることはない
ですから」と付け加えたため、「いや、そんなことは
ありません、今年はもう2度も、時刻前に行っちゃい
ましたしね、この間なんか、待ってたのに、通り過ぎ
て行っちゃったんですから」と、不満やるかたないご
様子です。

 と語り合ううちに、無事時刻通りにバスが到着、お
じいちゃんと一緒に乗り込みました。

 別の日、同じバス停に立っていますと、今度は、二
人連れのおばあちゃんから声をかけられました。

 一人は東京の世田谷にお住まい、もう一人は名古屋
の方で、女学校時代の同級生だと言われます。

 名古屋の方がお持ちの別荘に、世田谷のおばあちゃ
んをお招きしたそうですが、再会は十年ぶりで、問わ
ず語りに、お年は87歳だと教えてくれます。

 杖をついて歩く、世田谷のおばあちゃんを指しなが
ら、この人は、毎朝3千歩は散歩をするし、パソコン
でも携帯でも何でも出来るのに、私は何も出来なくて
と、名古屋のおばあちゃんは謙遜気味です。

 バスに乗ってからも、戦前戦後の昔話をうかがいま
したが、そうこうするうちに、そう言えば貴方は元の
総理のと、思い出したように言われます。

 そうですよと申し上げますと、「やっぱりそうだっ
た、このぼけた頭に、記憶をよみがえらせて下さって
有難う」と、変わった感謝のされ方をしました。

 また日がかわって、今度は、毎年7月から9月まで
の3ヶ月間、別荘で過ごしているというおばあちゃん
に会いました。

 その方の話によると、今は多くても10人ほどしか
乗っていないこのバスも、以前は、いつも満員だった
とのことで、乗客が減った理由に関しても、お年寄り
が大勢亡くなったからじゃないですかと、自説を披露
して下さいます。

 ただ、後で地元のタクシーの運転手さんに話を聞き
ますと、昔は別荘の管理会社が、自前のマイクロバス
を使って運行していたものを、最近はバス会社に運行
を委託をしたため、大き目のバスに変わったとのこと
で、お年寄り死亡説よりも、こちらの原因の方が、ウ
ェイトが大きいかなと思いました。

 山道を走るバスの中での、先輩方との会話は、都会
では味わえない楽しみでした。

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