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2011/10/24

赤飯ライスの思い出

 九州出身の、芸術家の女性から、時代が感じられる
ような、ほんわかと温かい、お母さまの思い出話をう
かがいました。

 この女性の実家は、由緒ある神社の神職でしたが、
彼女が小さかった頃お母さまは、賑やかな町なかの様
子を、あまりよくご存知ではありませんでした。

 ある日、何かの機会に、町の繁華街に出かけた彼女
が、レストランの陳列棚をのぞくと、ケチャップで味
付けをした、美味しそうなチキンライスが飾ってあり
ます。

 トマトケチャップも、チキンライスも見たことのな
かった彼女は、これは何だろうと興味を持って、家に
帰るなりお母さまに、「赤いご飯を丸く盛った上に、
日の丸の旗が立っていた」と、町で見たチキンライス
の、色や形を報告しました。

 それを聞いたお母さまは、「わかったわ、それじゃ
あ、それを作ってあげましょう」と言って、早速作っ
てくれたのですが、出てきたのは、お赤飯を丸く盛っ
て、その上に、つまようじに付けた日の丸の小旗を、
差し込んだものでした。

 これも、お母さまが、それまでトマトケチャップの
存在をご存知なかったからなのですが、それを見た彼
女は、町のお店で見たものはお赤飯だったのかと、妙
に納得してしまったそうです。

 後日、ケチャップの存在を知ったお母さまは、あら
ためて、本物のチキンライスに挑戦して下さったそう
ですが、聞いているだけでも、何ともほんわかと温か
いエピソードでした。

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