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2011/10/17

20年後の健康談議

 20年余り前、NHKへの就職の際に相談に乗った
後輩と、久し振りに会って旧交を温めました。

 この後輩は、僕が社会部の記者時代に、就職セミナ
ーで話をした時、その話を聞いて、渋谷の放送センタ
ーまで訪ねてきてくれました。

 そんな縁があったため、特段に思い出の多い後輩な
のですが、若くして脳梗塞を患ったと聞いていました
ので、その後の体調はどうかと、ずっと気にかかって
いました。

 でも、会ってみますととても元気そうで、病気の思
い出話も、今後のためになる話題として、楽しく聞く
ことができました。

 その彼に、脳梗塞の症状が出たのは、家での夕食を
終えて、間もない頃だったそうですが、本人は、食あ
たりで気分が悪くなったものだと、信じて疑わなかっ
たため、そのまま早目に床につきました。

 ところが、夜明け方になって、どうも様子がおかし
いと気づいた奥さまが救急車を呼ぶと、彼の目を見た
救急隊員は即座に、脳梗塞が疑われるので、動いては
いけないと支持を下します。

 たまたま、運び込まれた近くの救急病院が、数ヶ月
前から、脳梗塞に対応した専門のシフトを、取り始め
たばかりだったという幸運も手伝って、早速手術を受
けることになりました。

 すると、薄れゆく意識の中で、NHKで仕事も出来
たし、家族も持てたので、一人前の男として少しは世
の中のお役に立てた、だから、このまま死んだとして
も、人生は無駄ではなかったといった思いが、頭をめ
ぐったのだそうです。

 そんなものかと、この道では先輩格の彼の話に、じ
っと耳を傾けました。

 術後にリハビリが始まった頃には、立花隆さんの本
を読んでいて、もっと頭のくたびれない本を読んだら
と、看護師さんに冷やかされたというくらい、回復も
順調で、彼は、間もなく職場に復帰します。

 ところが、脳からの神経の発信力が弱くなって、睡
眠時無呼吸症になったため、夜中にしばしば目が覚め
て、、昼間の仕事中に急に眠くなってしまうという、
後遺症が出るようになりました。

 そこで、医師に勧められたのが、鼻に管をさして、
寝ている間にも、十分な空気を肺に送り込むという医
療機器ですが、これをつけるとぐっすりと寝つけるそ
うで、無呼吸症とは関係なく、一度試してみたいもの
だと思いました。

 ただ、なぜかこの機械は、外国製ばかりだそうです
し、その上、無呼吸症の診断がなく健康保険もきかな
いとなると、ひと月当たりの費用が、かなりの額にな
りますよと、忠告も受けました。

 就職の相談に乗った、当時大学生だった彼と、健康
に関わる話を交わしていることに、20年の歳月を噛
みしめながら、楽しいひと時を過ごしました。

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