花占いのように
中国の政治体制は、変わっていくのか、それとも変
わらないのか、何人かの方にご意見を聞いてみても、
結論はよくわからないままでした。
いささか旧聞に属しますが、去年の尖閣の問題に対
する感想を尋ねても、三権分立が出来ていない中国ら
しい、いつもながらの、政治優先の反応だと受けとめ
た方もいれば、これまでの中国の対応とは少し違った
ので、「おやっ、何かが変わっている」と、感じた方
もいます。
そうした、何らかの変化として指摘されることの一
つは、人民解放軍の発言力で、今年北京で開かれた、
日・米・中の三国のフォーラムでも、中国の軍事費が
不透明だとの意見が出されました。
これに対して、出席していた将軍が、「中国の軍事
費が、なぜ伸びているのか説明しましょう。それは、
人件費が伸びているからで、私の給料は、この4~5
年で3倍に、1万人民元になって、防衛大臣の給料よ
り高くなりました」と、発言したそうです。
もちろん、人件費をそこまで伸ばすこと自体に、後
に引けなくなるという問題点がひそみますが、将軍が
自分の給料を公表出来るようになったのも、発言力の
増加と見てとれなくはありません。
一方、国内的には、一人っ子政策の結果、一人当り
のGDPが、十分な大きさに達しないうちに、生産年
齢人口の比率が減少するという、大きな問題を抱えて
います。
その上、前にタクシーの運転手さんの話でも、紹介
しましたように、上層部の腐敗や不正に対する、国民
の不満はつのる一方です。
このため、中国問題の研究者の話では、中国の各地
で、年に10万件もの暴動騒ぎが起きているとのこと
でしたが、それが、中国の政治体制に、大きな変化を
もたらすかと尋ねると、その答えには疑問符が付きま
した。
というのも、かつての東ヨーロッパの崩壊も、今年
中東の各国で起きた独裁体制のドミノ倒しも、いずれ
も、独裁的な政治を行ってきた、政治家個人がターゲ
ットになって、体制がくつがえりました。
これに対して中国は、中国共産党の一党独裁の国で
すが、個人としての独裁者が、何十年も、政権をほし
いままにしているわけではありません。
ですから、主席や首相を、その座から引きずり降ろ
したとしても、体制は何も変わりませんし、かといっ
て、共産党に代わる統治の受け皿があるかと言えば、
それがないことを、多くの国民は理解しています。
といった訳で、中国の政治体制は変わるのか変わら
ないのかを、事情通にうかがっても、まるで、一枚一
枚の花びらを千切っていく花占いのように、最後まで
結果は分かりませんでした。
その中国は、今年が辛亥革命から100周年にあた
りますので、中国共産党の発足をドラマ化した、テレ
ビ番組が放送されました。
その番組を見ていた人が、「ああ、こうすれば新し
い党が作れるのか。だとすれば、これを見て、新しい
党を作りたいと思う人が、出てくるんじゃないか」と
つぶやいて、周囲に笑いが漏れたそうですが、そこで
は、リアリティーのある冗談で、終わったとのことで
した。
さて、花占いの最後の一枚は、いったいどちらなの
でしょう。
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