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2012年8月

2012/08/02

仏様はどんな人

 表意文字である、漢字の文字の成り立ちには、それ
ぞれ興味ある理由がありますが、最近相次いで、そう
した物語を聞く機会がありました。

 一つは、「食」という感じにまつわるお話で、話の
主は、「人に良い」と書いて、食べると読むでしょう
と話し始めます。

 その字の通り、食べ物は本来、人の体に良いもので
ないといけませんと、お話は続きます。

 中でも、体に一番良いのは、お母さんが作ってくれ
る食事で、それは、食べ物を作って利益を上げようと
いった、欲がないからですよと言われると、思わずな
るほどとうなずいてしまいます。

 もう一つは、別の方に伺った話ですが、それは、公
と私に関わることでした。

 言われるまでは、特に考えたこともなかったのです
が、「公」と「私」には、共通する字があります。

 改めて、二つの字を見比べていただければ、すぐに
分かるように、それは「ム」という字です。

 この「ム」という字は、手首を上に曲げて腕を腰に
あてた形、つまり、どうだと我を張っている姿を表し
た文字だと説明をされます。

 ふむふむと聞いていますと、続いて、この「ム」に
傘をかぶせたのが、「公」という字ですから、「私」
の我を封じる、「おおやけ」という意味になるのです
よとおっしゃいます。

 そこでまた、なるほど、そう言われればそうだなあ
と、感じ入ってしまいました。

 ただ、その時ふと、「仏」という字にも、「ム」が
使われていることに思い当たりました。

 このため、もし、「ム」の字が、我を張っている姿
を表したものだとすると、仏様は我の強い人というこ
とになるなあ、などと心惑わせながら、つくづく、漢
字の成り立ちは面白いと思いました。

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2012/08/01

過ぎたるは何とやら

 中国に関する話題の続きですが、中国人のジャーナ
リストから、高品質と高性能への過度のこだわりが、
わが国の物づくりの市場を狭めてはいないか、との指
摘を受けました。

 確かに、日本の物づくりは、高品質と高性能とを追
い求めてきた結果、世界的な評価を得ましたし、製品
のブランド化にも成功してしてきました。

 それを支えてきたのは、技術と技能の精密さや誤差
の小ささで、それはそれで素晴らしいことですが、そ
れが、製品のコスト高を生んできたことも否定出来ま
せん。

 その結果、中国でいえば、3千万人~4千万人の富
裕層だけが、日本製品のお客様になっています。

 それではもったいないではないかと言うのが、この
日会った、中国人ジャーナリストの指摘でした。

 というのも、中国人は、自国の企業の製品よりも、
日本の製品に対する信頼感が格段に高いため、これほ
ど、高品質と高性能にこだわらなくても、例えば、こ
れまで0.01の誤差で作っていた製品を、0,1の
誤差で作ったとしても、基本的な機能が保たれていれ
ば、中国人の、日本製品への信頼感は揺るがないとい
うのです。

 だから、中国向けに、従来の製品に比べれば、品質
と性能は少し劣る、けれども、基本的な機能は変わら
ないという製品を、安い価格で提供すれば、富裕層だ
けでなく、5億から6億という中間層を対象にした、
膨大なマーケットが開けるというのです。

 ところが、日本の企業は、高品質と高性能へのこだ
わりが強すぎて、こうした話をもちかけても、なかな
か耳を傾けてくれないと、この方は残念がっていまし
た。

 とはいえ、中国製品の一部にあるような、ただ安い
だけの低品質に合わせる必要はありませんが、その一
方で、行き過ぎた品質追求を見直す幅の広さも、大切
だと感じました。

 動物でも、角や牙が大きくなりすぎると、体を環境
に合わせられなくなって、滅んでいくしかありません
が、物づくりも、品質や性能を過度に追い求めると、
そんな動物たちと、同じ運命をたどることになるので
はと心配になります。

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はてその実態は

 中国という国を見ていると、感心することや呆れる
ことが数々あって、つくづく、実像のつかみにくい国
だと思えてきます。

 その中で、特に感心することは、エリートの育て方
と指導者の選び方です。

 というのも、中国では、若い共産党員を地方に配属
した上で、その仕事ぶりを見て、地方の幹部や中央の
要職に登用していきますが、こうして、最後までふる
いに残った数人が、党の最高の決定機関である常務委
員に選ばれます。

 その中から、国家主席と首相が、それぞれ一人ずつ
選ばれて、5年から10年、国のかじ取りを任される
わけですから、わが国の現状と比べますと、指導者の
質と腹構えに、大きな差が生じることになります。

 例えば、胡錦濤主席は、書類をひと目見ると、そこ
に書かれている内容を写真に撮ったように、瞬時に頭
の中に焼き付ける才能を持っているため、フォトグラ
フィックメモリーという異名を持ちます。

 また、温家宝首相は、もとは鉱山学の専門家で、金
融問題に詳しいわけではありませんが、金融をテーマ
にしたアセアン・プラス・スリーの会議の際に、自ら
メモを取りながら、専門的な内容の議事を取り仕切っ
て、周囲を感心させました。

 その一方で、中国の新聞記事には、腎臓移植をする
病院の近くに家を借りて、腎臓を売りたい人から、一
つ2~3万人民元で切り取った上、それを、移植手術
を受けたい人に、10倍の値段で売りつけていたグル
ープの話とか、息子を8千人民元で、娘を3千人民元
で売っていた父親の話など、とんでもない人の話が一
杯出てきます。

 この他にも、工業用のゼラチンを使って、薬のカプ
セルを作ったとか、エビの頭にゼラチンを入れて、目
方を稼いだ、さらには、病死した豚の肉で、ハムやベ
ーコンを作った、動物の内臓でヤミの油を作ったとい
った類の話は、枚挙にいとまがありません。

 考えてみれば、13億の人が暮らしているのですか
ら、様々な人間模様があっても当然ですが、この他に
も、このまま経済成長が保てるのか、高齢化の圧力は
いかほどか、幹部の腐敗に対して、国民はまだ我慢出
来るのかなど、つかめないことが山ほどあって、中国
のことを考えれば考えるほど、はてその実態はという
感じになります。

 その国との、国交正常化40周年が、間もなくやっ
てきますが、皆さんにとっての中国はどんな国でしょ
うか。

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