はてその実態は
中国という国を見ていると、感心することや呆れる
ことが数々あって、つくづく、実像のつかみにくい国
だと思えてきます。
その中で、特に感心することは、エリートの育て方
と指導者の選び方です。
というのも、中国では、若い共産党員を地方に配属
した上で、その仕事ぶりを見て、地方の幹部や中央の
要職に登用していきますが、こうして、最後までふる
いに残った数人が、党の最高の決定機関である常務委
員に選ばれます。
その中から、国家主席と首相が、それぞれ一人ずつ
選ばれて、5年から10年、国のかじ取りを任される
わけですから、わが国の現状と比べますと、指導者の
質と腹構えに、大きな差が生じることになります。
例えば、胡錦濤主席は、書類をひと目見ると、そこ
に書かれている内容を写真に撮ったように、瞬時に頭
の中に焼き付ける才能を持っているため、フォトグラ
フィックメモリーという異名を持ちます。
また、温家宝首相は、もとは鉱山学の専門家で、金
融問題に詳しいわけではありませんが、金融をテーマ
にしたアセアン・プラス・スリーの会議の際に、自ら
メモを取りながら、専門的な内容の議事を取り仕切っ
て、周囲を感心させました。
その一方で、中国の新聞記事には、腎臓移植をする
病院の近くに家を借りて、腎臓を売りたい人から、一
つ2~3万人民元で切り取った上、それを、移植手術
を受けたい人に、10倍の値段で売りつけていたグル
ープの話とか、息子を8千人民元で、娘を3千人民元
で売っていた父親の話など、とんでもない人の話が一
杯出てきます。
この他にも、工業用のゼラチンを使って、薬のカプ
セルを作ったとか、エビの頭にゼラチンを入れて、目
方を稼いだ、さらには、病死した豚の肉で、ハムやベ
ーコンを作った、動物の内臓でヤミの油を作ったとい
った類の話は、枚挙にいとまがありません。
考えてみれば、13億の人が暮らしているのですか
ら、様々な人間模様があっても当然ですが、この他に
も、このまま経済成長が保てるのか、高齢化の圧力は
いかほどか、幹部の腐敗に対して、国民はまだ我慢出
来るのかなど、つかめないことが山ほどあって、中国
のことを考えれば考えるほど、はてその実態はという
感じになります。
その国との、国交正常化40周年が、間もなくやっ
てきますが、皆さんにとっての中国はどんな国でしょ
うか。
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