過ぎたるは何とやら
中国に関する話題の続きですが、中国人のジャーナ
リストから、高品質と高性能への過度のこだわりが、
わが国の物づくりの市場を狭めてはいないか、との指
摘を受けました。
確かに、日本の物づくりは、高品質と高性能とを追
い求めてきた結果、世界的な評価を得ましたし、製品
のブランド化にも成功してしてきました。
それを支えてきたのは、技術と技能の精密さや誤差
の小ささで、それはそれで素晴らしいことですが、そ
れが、製品のコスト高を生んできたことも否定出来ま
せん。
その結果、中国でいえば、3千万人~4千万人の富
裕層だけが、日本製品のお客様になっています。
それではもったいないではないかと言うのが、この
日会った、中国人ジャーナリストの指摘でした。
というのも、中国人は、自国の企業の製品よりも、
日本の製品に対する信頼感が格段に高いため、これほ
ど、高品質と高性能にこだわらなくても、例えば、こ
れまで0.01の誤差で作っていた製品を、0,1の
誤差で作ったとしても、基本的な機能が保たれていれ
ば、中国人の、日本製品への信頼感は揺るがないとい
うのです。
だから、中国向けに、従来の製品に比べれば、品質
と性能は少し劣る、けれども、基本的な機能は変わら
ないという製品を、安い価格で提供すれば、富裕層だ
けでなく、5億から6億という中間層を対象にした、
膨大なマーケットが開けるというのです。
ところが、日本の企業は、高品質と高性能へのこだ
わりが強すぎて、こうした話をもちかけても、なかな
か耳を傾けてくれないと、この方は残念がっていまし
た。
とはいえ、中国製品の一部にあるような、ただ安い
だけの低品質に合わせる必要はありませんが、その一
方で、行き過ぎた品質追求を見直す幅の広さも、大切
だと感じました。
動物でも、角や牙が大きくなりすぎると、体を環境
に合わせられなくなって、滅んでいくしかありません
が、物づくりも、品質や性能を過度に追い求めると、
そんな動物たちと、同じ運命をたどることになるので
はと心配になります。
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